創薬等支援技術基盤プラットフォーム(創薬等PF、PDIS)事業の背景には、旧来の構造生物学と生命科学の融合を目指す構造生命科学(Structural Life Sciences、SLS)の概念が存在しています。本ニュースウオッチでは、Nature (Nature Publishing Group), Science (AAAS/Science)などのジャーナルや各機関のプレスリリースなどから、生命現象全般を対象とした研究の成果・手法・動向を取り上げてお届けします。また、創薬等PFとその前身のターゲットタンパク研究プログラムTPRP)の活動・成果についても随時ご報告致します(タイトルにPDISまたはTPRPと表示いたします)。なお、NEWマークは、直近1週間以内に掲載した記事に付しています。


2012年度のニュースを表示中


2013年03月26日
セレトニン受容体 (5-HT)ファミリーの最初の構造解析
セレトニン受容体のうち5-HT1B と5-HT2B につき、それぞれ片頭痛薬エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミンと結合した構造が報告された (2 papers in Science)

2013年03月26日
ウイルスRNA感知センサーTLR8の構造
ウイルス由来のRNAを感知して炎症、抗ウイルス応答を引き起こすTLR8受容体 (Toll Like Receptor 8)の、リガンド非結合型とリガンド結合型の構造が明らかにされた (Science)

2013年03月26日
手足口病を引き起こすウイルスの構造
ヒトエンテロウイルス71に阻害剤が結合した構造が報告された (PNAS)

2013年03月21日
新しい抗マラリア薬
キノロン-3-ジアリールエーテルがマラリア原虫のミトコンドリア・シトクロムbc1複合体 の強力な阻害剤で、3種の生活環ステージすべてに効果があることが報告された (Sci. Transl. Med.)

2013年03月21日
鱈のペプチドが癌転移を抑える
TF (Thomsen-Friedenreich) 抗原(CD176) は多くの癌細胞表面に発現しており、前立腺癌の転移に関わっている。タラから精製された糖ペプチドTFD100が、前立腺癌で過剰発現するガレクチン3と結合し、そのTF抗原との相互作用をブロックすることが見出された (PNAS)

2013年03月19日
がん幹細胞の撲滅による新しいがん治療法の開発
白血病モデルマウスを用いて、がん幹細胞の静止期を維持するための必須のタンパク質Fbxw7 (F-box/WD repeat-containing protein 7) が同定され、Fbxw7の抑制と抗がん剤の併用により、治療後の再発を減少させ、生存率を大幅に改善できることが報告された (Cancer Cell)

2013年03月19日
膜タンパク質結晶化のための新しい界面活性剤
新しい両親媒性物質は、膜タンパク質と密に会合して小さい複合体を形成するため、膜タンパク質の結晶化を促進する (PNAS)

2013年03月19日
免疫細胞をトレーニングする
T細胞を微小エマルジョンの中にトラップして抗原シグナルを提示し、疾患ターゲットを攻撃するように教え込む方法が報告された (J. Am. Chem. Soc.)

2013年03月14日
病原性の新興コロナウイルスの受容体
致死的な呼吸器感染と関連している新規なコロナウイルス(hCoV-EMC: human coronavirus-Erasmus Medical Center) は、気道細胞上の進化的に保存された受容体DPP4 (ジペプチジルペプチダーゼ4) に結合することが見出された (Nature)

2013年03月12日
抗生物質の効能は活性酸素種に因るものではない
2つの研究グループが、抗生物質は活性酸素種 (ROS) 産生に適さない嫌気的条件でもバクテリアを殺すことを報告した;従来の見解と異なり、創薬のアプローチに疑義を投げかけた (2 papers in Science)

2013年03月11日
DHA由来の脂質がインフルエンザを抑える
魚油に多く含まれる不飽和脂肪酸DHA (ドコサヘキサエン酸)から代謝生産される脂質プロテクチンD1が、インフルエンザウイルスの複製を抑制して感染から守ることが見出された (Cell)

2013年03月08日
赤ワインのポリフェノールの名誉挽回?
赤ワインに多く含まれるポリフェノールのリスベラトロールのアンチエイジング効果は約10年間論争が続いてきた。その効果を支持する結果が報告された (Science)

2013年03月08日
カフェインでハチをおびき寄せる
ある種の植物の花蜜に少量含まれるカフェインが、ハチの学習能力を向上させ、ハチは何度も受粉に戻ることが見出された (Science)

2013年03月07日
塩分と自己免疫疾患のリンク
Th17 細胞 (インターロイキン17を産生するヘルパー細胞) は、病原菌除去に働く一方、自己免疫疾患も引き起こす炎症誘発性細胞である。高食塩食が病原性Th細胞を誘起して組織の炎症を促進することが3報の論文により報告された (3 papers in Nature)

2013年03月07日
甘味、苦味、旨味の脳への伝達をトリガーするタンパク質
甘味、苦味、旨味の3種の味蕾細胞表面のCALHM1イオンチャネルタンパク質から、生体のエネルギー通貨であるATP分子が神経伝達物質として放出されることが見出された(Nature)

2013年03月07日
ウェブデータ解析から薬の飲み合わせの副作用を知る
600万人のネットユーザーから集めた大規模ウェブデータの解析から、FDA医薬品安全性監視システムでは未報告の処方薬副作用が検知された;抗うつ剤とコレステロール降下剤の組み合わせは高血糖を引き起こしやすい (J. Am. Med. Inform. Assoc.)

2013年03月06日
何故サプリメントより魚まるごとが良いのか?
BKチャネルタンパク質 (Calcium-activated potassium channels) がDHAなどの長鎖ω3脂肪酸の受容体で、脂肪酸がチャネルを活性化し、血圧を下げることが見出された。サプリメントに含まれるω3脂肪酸エステルにはこの効果が見られなかった (2 papers in PNAS)

2013年03月06日
Hsp90タンパク質のニトロ化が細胞死を引き起こす
ヒートショックタンパク質Hsp90の1つのチロシン残基のニトロ化により運動ニューロンの細胞死が引き起こされることが報告された (PNAS)

2013年03月05日
カルシウムポンプタンパク質がカルシウムイオンを結合する直前の構造
細胞中に大量に存在するマグネシウムイオンが、カルシウム結合に向けてポンプを準備する様子が解明された。また、結晶構造中にカルシウムポンプの調節タンパク質として知られるサルコリピンが同定され、この状態を安定にしていることが見い出された (2 papers in Nature)

2013年03月05日
細胞内清掃マシーン、オートファゴソームの生成場所
細胞内のオルガネラの一種で、オートファジーを担うオートファゴソームが、別のオルガネラであるミトコンドリアと小胞体が接触する場所で造られていることが見い出され、接触点でオートファゴソームが生成する様子の動画が撮影された (Nature)

2013年03月04日
時計因子CRYタンパク質が1日周期で増減を繰り返す仕組み
クリプトクロム(CRY1とCRY2)は、昼間はユビキチン化修飾酵素FBXL21による安定化制御で蓄積し、夜になるとFBXL3による分解制御を受けて減少することが明らかにされた (2 Papers in Cell)

2013年03月04日
地中海ダイエットで心血管疾患を予防する
地中海ダイエットが、心血管リスクの高い人の重大な心血管事象の発生率を減少させると報告された。その明確な有益性のため、臨床試験は予定より早く終了した (NEJM)

2013年03月01日
金属イオンが酵素の生成物特異性を決めるケース
ある種のハムシ (葉虫) のテルペノイド合成経路のイソプレニル二リン酸シンターゼは、補因子としてCoイオンあるいはMnイオンが存在する場合とMgイオンが存在する場合で全く生成物組成が異なることが見いだされた (PNAS)

2013年02月28日
転写開始の一連のプロセスの構造可視化
クライオ電顕を用いて、ヒト基本転写因子群とRNAポリメラーゼII (Pol II) が転写前開始複合体を形成する過程のスナップショットが明らかにされた (Nature)

2013年02月28日
30億年前の薬剤耐性酵素の復活
βラクタマーゼは、ペニシリンを含むβラクタム系抗生物質を加水分解する酵素で、細菌に薬剤耐性を付与する。先カンブリア紀の時代を追ったβラクタマーゼが再構成され、構造・機能が報告された (J. Amer. Chem. Soc.)

2013年02月28日
環状RNAのデビュー
RNAの多様性は限りない。環状ノンコーディングRNAが発現調節に関与するマイクロRNAと結合し不活性化することが見いだされた (2 papers in Nature)

2013年02月27日
腸内細菌と血圧のリンク
腸内細菌による発酵で産生される短鎖脂肪酸 (SCFAs) が、2種のSCFA 受容体Olfr78 (olfactory receptor 78) とGpr41 (G protein-coupled receptor 41) を介して血圧を調節することが明らかにされた (PNAS)

2013年02月27日
悪玉コレステロール?
心血管系疾患に関する米国の新しいガイドラインは、明確の臨床試験結果のない“悪玉”LDLコレステロールのターゲット値に触れない方見込みである

2013年02月26日
顧みられない熱帯病:河川盲目症
河川盲目症は、ブヨ(ブユ)が媒介する寄生フィラリアによる感染症である。患者尿中から検知されるフィラリアの神経伝達物質トリアミンの代謝物が、感染のバイオマーカーであることが見いだされた (PNAS)

2013年02月22日
ドラッグデリバリー:“私を食べないで”シグナルで、ナノ粒子が免疫系をすり抜ける
白血球抗原CD47 はマクロファージ表面のSIRPα 受容体と結合し、マクロファージに“don’t eat me” シグナルを送る。CD47をモデルにした合成ペプチドでタグ付けしたナノ粒子はマクロファージの貪食を逃れ体内に入ることが示された (Science)

2013年02月22日
薬剤耐性株にも有効なインフルエンザ薬
ウイルスのノイラミニダーゼ (受容体破壊酵素) の活性部位に共有結合し、ウイルスが宿主細胞上のシアル酸 を開裂して蔓延することを妨げる阻害剤が開発された (Science)

2013年02月22日
ダームシジン:汗腺に分泌する抗菌ペプチド
構造・機能解析から、ダームシジンは膜チャネルの構造を形成して病原菌の細胞膜に穴をあけ、水やイオンが流れこみ抗菌性を発揮することが示された (PNAS)

2013年02月21日
論文撤回、そして改良した手法の論文投稿
ニューロンのタンパク質‐タンパク質結合イメージングに関するCellの論文が撤回されたが、改良した手法が発表された (PLoS ONE)

2013年02月20日
酵素の変異がもたらす蛾性フェロモンの多様性
フェロモン生合成酵素長鎖脂肪酸アシルCoAレダクターゼ (pgFAR) のアミノ酸多型が基質特異性の違いを生じ、種特異的なフェロモン組成をもたらすことが示された (PNAS)

2013年02月19日
X線パルスレーザーで光合成の現場を探る
フェムト秒X線パルスを用いて、タンパク質複合体photosystem II (PSII) 微結晶の回折 (複合体全体の構造) と分光 (Mn錯体の電子状態) の両方が同時に解析された。結晶化の難しい放射線感受性システムの室温での検討に道を開いた (Science)

2013年02月19日
アンチセンス薬のデビュー
20数年の試行錯誤を経て、アポリポタンパク質BをコードするメッセンジャーRNAをターゲットとする治療薬が、アンチセンス薬として初めてのFDA認可を得た

2013年02月18日
Brain Activity Mapプロジェクト
米国政府は、ヒト脳の働きを調べ包括的な機能マップと作り上げる10年間のプロジェクトを検討している

2013年02月18日
線虫が低温で長寿命な訳
低温環境はチャネルタンパク質TRPA-1 (Transient receptor potential cation channel subfamily A member 1)を活性化し、カルシウムイオンが細胞内に流入し、引き続くシグナル伝達で寿命の主要制御因子である関連転写因子DAF-16に到達することが報告された (Cell)

2013年02月16日
Gタンパク質共役受容体の分子的特徴
これまでに報告されたGPCRの系統的比較解析から、GPCRの折り畳み方やリガンドとの結合の特徴が明らかにされた (Nature)

2013年02月16日
プリオンタンパク質は神経形成に有用
プリオンのミスフォールド型 (PrPScアイソフォーム) は狂牛病などの感染性疾患に関与する。一方、正常型 (PrPCアイソフォーム) は、神経結合形成に関与することが報告された (J. Neurosci.)

2013年02月16日
腸内細菌の産生するNO分子が線虫の寿命を延ばす
バクテリアが産生する一酸化窒素は、線虫の2種の転写因子HSF-1 とDAF-16 の制御下の遺伝子群の活性化を通じて、そのストレス耐性を高め寿命を延ばすことが見出された (Cell)

2013年02月14日
ω6脂肪酸はオートファジーを活性化する
線虫やヒト上皮細胞にω6脂肪酸を補給すると、細胞リサイクルメカニズムであるオートファジープロセスが活性化され、飢餓状態に強くなりまた老化進行を遅らせることが見いだされた (Genes Dev.)

2013年02月14日
メラミン混入粉ミルク・ペットフードによる腎不全の共犯者は腸内細菌
ラットを用いて、腸内細菌がメラミンを、腎結石の主要成分であるシアヌル酸に転換することが報告された (Sci. Transl. Med.)

2013年02月12日
原子分解能でタンパク質変性を追跡する
NMRを用いて、転写抑制因子CylR2 ホモ二量体の25 ℃ から?16℃ への低温変性の様子が追跡された (Nat. Chem. Biol.)

2013年02月12日
古い喘息薬が肥満治療に有望
代謝を活性化しエネルギーを燃焼させることを狙っての2種のキナーゼIKKE とTBK1の阻害剤スクリーニングから認可アレルギー薬アンレキサノクスがヒットした。アンレキサノクスは肥満マウスで有益な効果を示した (Nat. Med.)

2013年02月12日
HIVなど広範なウイルスを阻止する酵素
インターフェロンによって誘導される酵素CH25H (cholesterol-25-hydroxylase) は、コレステロールから25-ヒドロキシコレステロールを産生することにより、HIVなどエンベロープをもつウイルスの増殖を阻害することが示された (Immunity)

2013年02月08日
欧州合同創薬プロジェクト
European Lead Factoryと呼ばれる産学創薬コンソーシアムがスタートする。製薬会社7社の提供する30万を含めた50万の化合物ライブラリーを整備したスクリーニング拠点を構築する

2013年02月08日
筋萎縮性側索硬化症:核酸反復から翻訳されるジペプチド反復タンパク質
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) やある種の認知症 (FTLD) ではC9orf72遺伝子のGGGGCC反復の増大が知られている。このGGGGCC反復が実際にジペプチド反復タンパク質へと翻訳されていることが見いだされた (Science)

2013年02月08日
オートファジーを誘導するペプチド
オートファジータンパク質beclin 1 (Atg6) 由来のペプチドTat-beclin 1がオートファジープロセスを引き起こすことが示された (Nature)

2013年02月08日
水銀をメチル化する遺伝子クラスター
無機水銀のメチル化に用いられている微生物の遺伝子クラスターhgcA とhgcB が同定された。この遺伝子クラスターは、メチル水銀生成が知られるすべてのバクテリアに存在する (Science)

2013年02月07日
癌と戦うタンパク質を化合物で活性化する
TRAIL (tumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand) は、内在性腫瘍抑制タンパク質である。TRAILを持続的に発現させる化合物TIC10 (TRAIL-inducing Compound 10) が見いだされた (Sci. Transl. Med.)

2013年02月07日
最も一般的な心臓弁膜症と特殊なコレステロールとのリンク
珍しいタイプのコレステロールであるapolipoprotein (a) をコードするLPA遺伝子の変異が大動脈弁狭窄症の発症リスクと関連付けられることが報告された (NEJM)

2013年02月07日
腸内細菌が穀物に潜む毒素を蘇らせる
腸内細菌が、穀物中で化学修飾されたカビ毒を分解し、消化器系や神経系にダメージを引き起こす毒素を解き放つことが見いだされた (Chem. Res. Toxicol.)

2013年02月06日
古くなった赤血球から鉄をリサイクルするタンパク質
HRG1 (Heme-responsive gene 1 protein homolog) が、赤血球を壊し、ヘム鉄を回収する際のヘム輸送に必須のタンパク質であることが報告された (Cell Metabolism)

2013年02月06日
がん遺伝子・変異RAC1の発見
腫瘍細胞株から低分子量Gタンパク質の1つであるRAC1を発現するRAC1遺伝子の突然変異が見いだされた。変異RACタンパク質の機能を抑制する薬剤によるがん分子標的療法の開発が期待される (PNAS)

2013年02月05日
癌を殺すのではなくだまらせる
2種類のサイトカイン、インターフェロンγ (IFN-γ) と腫瘍壊死因子 (Tumor Necrosis Factor, TNF) を組み合わせて作用させると、癌の持続的増殖停止がもたらせられることが示された (Nature)

2013年02月05日
RNAの分子シュレッダーの構造
真核生物のmRNA分解小胞エキソームの構造解析から、その基質認識と分解プロセスが明らかにされた (Nature

2013年02月05日
細胞死制御タンパク質の構造
アポトーシス制御因子Baxの不活性状態と活性状態の構造が決められた。活性型がミトコンドリアの膜を破裂させ、細胞をアポトーシスに導く (Cell)

2013年02月05日
高濃度の塩を感知するタンパク質
線虫のTMC-1 (Transmembrane channel-like protein 3) が有害な量の塩を感知することが報告された (Nature)

2013年02月05日
質量分析計を脳腫瘍手術中の診断ツールとして使う
リン脂質分布の変化に伴う質量スペクトル信号が、健常組織に囲まれた腫瘍組織の弁別に使われ始めた (PNAS)

2013年02月04日
タンパク質折り紙:素早い折り畳みへの進化
分子系統学解析と構造解析を組み合わせて、タンパク質の折り畳み速度は、38億年前から15億年前にかけて増加してきたことが報告された (PLoS Comput. Biol.)

2013年02月04日
欠陥を持つダイヤモンド結晶を用いたナノスケールNMR
表面近傍の窒素・空孔欠陥を有するダイヤモンドデバイスを用いて、極微量サンプルのナノテスラ磁場が感知できることが示された (2 papers in Science)

2013年02月04日
軟体動物に共生するバクテリアは生理活性物質の宝庫
生理活性ポリケチドが2種類の軟体動物(フナクイムシ:PNASとイモガイ:Chem. & Biol.)に共生するバクテリアから同定された

2013年02月04日
上空に舞い上がって生き延びる微生物
ハリケーンが上空に巻き上げた多くの微生物の中には、数日から数週間生き延びて空を飛ぶ種も存在することが報告された (PNAS)

2013年02月04日
抗生物質抵抗性のバクテリアから新しい薬剤リード化合物を探す
土壌放線菌の薬剤耐性株から、野生株が産生しない300以上の化合物が見いだされた (PNAS)

2013年01月28日
HIV病原性因子タンパク質を狙い撃つ
25万化合物のスクリーニングからジフェニルピラゾール系化合物が、HIV-1の病原性因子であるNefタンパク質と結合し、Nef-依存性のHIV複製をサブμMレベルでブロックすることが報告された(Chem. & Biol.)

2013年01月25日
空腹状態になると記憶力があがる仕組み
ショウジョウバエを空腹状態にすると、血糖値をコントロールするインスリン分泌が低下し、インスリンにより抑制されていたタンパク質CRTC (CREB-regulated transcription coactivator) が核内移行し、CREB (Cyclic AMP-responsive element-binding protein) を活性化して記憶力があがることが報告された (Science)

2013年01月25日
メラノーマ:タンパク質コード領域ではなく制御領域に頻発する変異
2つの研究チームから、黒色腫で、テロメラーゼの触媒サブユニットをコードするTERT (telomerase reverse transcriptase) 遺伝子のプロモーター領域の変異が見いだされた (2 papers in Science)

2013年01月25日
抗菌性D-エナンチオマーペプチド
薬剤抵抗性グラム陰性細菌の膜を断片化して溶解するペプチドミメティクスが開発された。L-アミノ酸から成るペプチドが宿主や病原菌の酵素で分解されやすい欠点を避けるため、すべてD-アミノ酸から成る (PNAS)

2013年01月25日
でんぷん食への適応が鍵となった犬の家畜化
ゲノム比較から、イヌはオオカミに較べアミラーゼやマルターゼなどのでんぷん加水分解酵素の活性や効率が高いことが見いだされた (Nature)

2013年01月25日
塩が植物の成長を止める仕組み
側根の内皮が塩に対して敏感で、植物ホルモンのアブシジン酸を活性化し、根の成長を止めることが報告された (Plant Cell)

2013年01月25日
未知のゲノム領域にペプチド大陸が存在
シロイヌナズナからペプチドをコードする短い遺伝子を7,000 個以上発見 (PNAS)

2013年01月25日
パラインフルエンザウイルスはどうやって免疫応答に対抗するのか?
RIG-I like receptor の一種のMDA5 はフィラメント状に重合して長鎖RNAを感知する。構造解析から、パラインフルエンザウイルスのVタンパク質は、そのヘアピンループを挿入してMDA5の構造をほどき、フィラメント形成を妨げることが見いだされた (Science)

2013年01月21日
チャージジッパー:膜タンパク質のフォールディングメカニズム
Tat (Twin-arginine translocation) 系タンパク質分泌経路を担う膜口形成膜タンパク質TatAは、向かい合うアミノ酸の正負の電荷の中和という静電的な“チャージジッパー”に基づきフォールディングし、会合することが見いだされた (Cell)

2013年01月21日
ヒト細胞中のDNA四重鎖構造
抗体を用いてG-quadruplex (グアニン四重鎖) が可視化された (Nat. Chem.)

2013年01月21日
らい菌は成熟細胞を幹細胞にリプログラムする
ハンセン病を引き起こすらい菌は、ある種の神経細胞を幹細胞様にリプログラムし、それを用いて他の組織に浸潤することが見いだされた (Cell)

2013年01月21日
NIH トランスレーショナルセンターの進捗
発足1年を迎えたNIHのNational Center for Advancing Translational Sciencesの状況レポート

2013年01月21日
極めて多様なコンフォメーションを有する品質管理タンパク質
電子顕微鏡を用いて、リボソームでの品質管理タンパク質Ltn1 (E3 ubiquitin-protein ligase listerin) は20以上のコンフォメーションをとることが示された (PNAS)

2013年01月21日
癌細胞を自殺に追い込む小分子
デスレセプター5 (DR5, Tumor necrosis factor receptor superfamily member 10B) は、正常細胞ではほとんど発現しないが、多くの癌細胞で発現する。約20万化合物ライブラリーのスクリーニングから、DR5の天然タンパク質リガンドTRAIL と同様に、DR5のクラスター形成を活性化し、アポトーシスを促す化合物bioymifi が見いだされた (Nat. Chem. Biol.)

2013年01月21日
“歯ブラシの木”から結核薬
小枝を歯ブラシに使ってきた南アフリカの植物に含まれる化合物diospyrin (ビスナフトキノン) が、バクテリアや植物には必須で動物やヒトには存在しないDNAジャイレースの阻害剤であることが報告された (J. Biol. Chem)

2013年01月15日
アルコール系消毒液はノロウイルスに有効か?
インフルエンザウイルスなど脂質から成るエンベロープを有するウイルスは、アルコールで容易に破壊できるが、ノロウイルスなどのエンベロープを持たないウイルスは消毒用アルコールでの不活化は難しい;石鹸と水により物理的に洗い流すことが有効

2013年01月15日
ウイルスが細胞に感染する現場を取り押さえる
極低温電子線トモグラフィーを用いて、T7ウイルス粒子が大腸菌に感染する際の詳細な構造変化を伴う挙動が明らかにされた (Science)

2013年01月15日
インスリンが受容体と結合する仕組み
インスリン受容体の短縮型構築体に結合したインスリンの4種類の結晶構造に基づき、インスリン受容体の主要結合部位とインスリンとの相互作用が明らかにされた (Nature)

2013年01月15日
MCL1ターゲットタンパク質の2か所を狙い撃つ
いくつかのタイプの癌で、アポトーシス抑制タンパク質MCL1 (Induced myeloid leukemia cell differentiation protein) の過剰発現が報告されている。 MCL1の隣接するサイトに結合する2種類のフラグメント分子ファミリーが見いだされ、その2種類のフラグメントをマージしてMCL1阻害剤が開発された (J. Med. Chem)

2013年01月15日
構造-活性相関解析を自動化する
創薬化学者が用いる構造活性相関解析をコンピューターイテレーションすることにより、多重標的プロファイルを持つリガンドを設計する手法が提案された。この手法によりアセチルコリンエステラーゼ阻害剤ドネペジル(アリセプト)を、複数のターゲットタンパク質に対し異なった特異性と活性を有する様々なリガンドへと進化させることが示された (Nature)

2013年01月15日
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に打ち克つリード化合物
バクテリアの細胞壁生合成に必須の酵素ウンデカプレニルピロりん酸シンテターゼ (uppS) を阻害する10種類の化合物の同定と酵素-阻害剤複合体結晶構造が報告された (PNAS)

2013年01月15日
ビデオ:ゴキブリに寄生したハチの幼虫は食べる前に消毒す
ゴキブリを刺して麻痺させ、幼虫の宿主(餌)にする昆虫寄生生物であるエメラルドゴキブリバチの幼虫は、口器から抗菌性化合物を分泌してゴキブリを消毒することが見出された (PNAS)

2013年01月07日
II型糖尿病:新規ターゲットタンパク質アデニル酸シクラーゼ
最も処方されている糖尿病薬メトホルミンの作用機序は、従来提案されたAMPK (5'-AMP-activated protein kinase ) 酵素の活性化によるグルコース産生減少ではなく、グルカゴンホルモンシグナル伝達系の抑制によるものであることが示され、この伝達系の酵素アデニル酸シクラーゼが創薬ターゲットであることが推察された (Nature)

2013年01月07日
p62: 善玉脂肪組織の新規制御因
足場タンパク質p62 (sequestosome 1; SQSTM1) を脂肪細胞だけで欠損したマウスを用いて、p62が褐色脂肪組織のミトコンドリア機能の調節を介して、エネルギー代謝を制御していることが報告された (J. Clin. Invest.)

2013年01月07日
TRIP-Br2:脂肪貯蔵とエネルギー代謝の新規制御因子
転写調節因子TRIP-Br2 (transcriptional regulator interacting with the PHD-bromodomain 2) は肥満や高脂肪食により発現上昇し、HSL (ホルモン感受性リパーゼ) やβ3アドレナリン受容体の発現を抑制し、エネルギー消費減少と脂肪蓄積を引き起こすことが見出された (Nat. Med.)

2013年01月07日
iPS細胞を用いて患者自身の免疫細胞を再生して疾病と闘う
HIV感染細胞(東大)と癌細胞(理研)につき、患者の成熟T細胞を、iPS細胞作製技術とT細胞分化誘導技術を用いて、長寿命で特定の抗原を認識する大量の成熟T細胞へ再生できることが二つの研究チームから報告された (2 papers in Cell Stem Cell)

2013年01月07日
“長期記憶を司る酵素”に疑義
長期の記憶を司るとされていたプロテインキナーゼPKM-ζの役割に疑義が呈された (2 papers in Nature)

2013年01月07日
バクテリアの抗生物質適応能を高めるパーシスタンス現象
バクテリアの抗生物質への応答を1細胞レベルで測定し、抗生物質投与に対して遺伝子変異なしで集団内部の一部のバクテリアが生き延びる「パーシスタンス現象」が、細胞の生存に関わる細胞内酵素の確率的発現により引き起こされることが見出された (Science)

2013年01月07日
マラリア原虫を殺す宿主防御ペプチドの同定と治療薬開発への展開
血小板特異的ペプチドの血小板第4因子hPF4 (human platelet factor 4) にマラリア原虫を殺す作用があることが見いだされ、非ペプチド性小分子ライブラリースクリーニングから、hPF4と同様な効果を有する小分子が同定された (Cell Host & Microbe)

2012年12月26日
腫瘍抑制因子p53を蘇らせる
いくつかの腫瘍において、変異の無いp53が、MDM2 オンコプロテインとの結合のためにその機能を阻害されていることが見いだされている。大手製薬企業3社が、MDM2-p53 相互作用をブロックする薬剤によりp53を再活性化することを競っている

2012年12月26日
マラリア熱治療に2000年用いられてきた漢方生薬の作用メカニズム
アルカロイドのフェブリフギンは、生薬Chang Shan の活性成分である。 フェブリフギンの誘導体のハロフジノンが結合したプロリル-tRNA 合成酵素 (ProRS) の詳細な構造解析から、ハロフジノンは、ProRS 酵素のtRNAとプロリンの両方の活性サイトをブロックしていることが明らかになった (Nature)

2012年12月26日
今年決定された4種のオピオイド受容体の構造
GPCRファミリーに属する膜タンパク質で、鎮痛や多幸感などに関与するオピオイド受容体4種の構造が、2つの研究チームから競って報告された (4 papers in Nature)

2012年12月26日
糸状菌が産生する抗がん剤の種テルペンドールEの生合成メカニズム
テルペンドールEを変換する酵素の遺伝子terPを欠損させ、安定的調製が可能に

2012年12月26日
ScienceShot: クシクラゲのゲノムが明らかにする発光と受光
ゲノム解析から、クシクラゲ (ctenophore) の生物発光には10種のタンパク質が関与していること、また眼を持たないにも拘らず光受容色素タンパク質を有することが報告された (BMC Biology)

2012年12月26日
肥満治療のターゲット:腸内味覚受容体
肥満は、腸内の味覚受容体を選択的に標的として、満腹感を伝えるホルモンを放出させることによって防げるのではないかということを示唆する証拠が増えている (Trends in Endocrinology & Metabolism)

2012年12月26日
速生育遺伝子組換えサーモンが米国で認可間近
AquAdvantage という商標の大西洋鮭は、鱒の介 (キングサーモン) の成長ホルモン遺伝子とゲンゲと呼ばれる海水魚のプロモーター遺伝子が組み込まれており、暖かい時期だけではなく、一年中成長成長ホルモンを産生する

2012年12月20日
炎症プロセスとアルツハイマー病進行とのリンク
マウスを用いて、アルツハイマー病においてNLRP3 (NOD-like receptor family, pyrin domain containing 3) が活性化され、その病理進行に関わることが示された。NLRP3インフラマソーム阻害が治療法開発に繋がるかもしれない (Nature)

2012年12月20日
ヒトGTP結合タンパク質Rab GTPaseの触媒機構を探る
Rab GTPases は小胞輸送の鍵制御因子で、Rab-GTPase活性化タンパク質 (RabGAPs) の助けが無い時のGTP加水分解活性は低い。X線構造解析とFTIR 分光を組み合わせて、Rab‐RabGAP 複合体の分子反応機構の詳細が原子レベルの分解能で検討された (PNAS)

2012年12月20日
脂肪肝を抑制する化合物
核内受容体である肝臓X受容体(LXRα とLXRβ) の活性を肝臓において選択的に阻害する化合物 (SR9238) が開発され、マウスモデルで、脂質生合成、炎症、脂質蓄積を抑制する効果を示すことが報告された (ACS Chem. Biol.)

2012年12月20日
植物交雑の鍵を握るペプチドを発見
ゲノム進化に着目し、アブラナ科シロイヌナズナで花粉管誘引ペプチド LURE1 を発見し、これを遠縁種のアゼトウガラシ科トレニアに導入することで、種間交雑の壁を打破できることが報告された (PLoS Biol.)

2012年12月20日
HIV 感染:新規ターゲットタンパク質‐シアル酸結合タンパク質シアロアドへシン
樹状細胞の受容体シアロアドへシン (Siglec-1 or CD169) が、HIV表面のシアル酸含有脂質ガングリオシドと結合することにより、HIVの侵入が引き起こされることが見出された。Siglec-1は新たなAIDS治療ターゲットである (PLoS Biol.)

2012年12月20日
British Medical Journal のクリスマスプレゼント
過去30年に渡り、BMJ誌はそのクリスマス週特集号では、医学の軽妙な、明るい、あるいは型破りな話題を扱った論文に傾注してきた。今年は、トナカイの鼻の赤い訳、院内感染菌としてクローズアップされているClostridium difficileを嗅ぎわけるビーグル犬などの論文が掲載されている (BMJ)

2012年12月20日
Interactome3D: タンパク質ネットワークに構造情報を付与する
8種のモデル生物に関する12,000 以上のタンパク質-タンパク質相互作用にタンパク質立体構造情報が付与されたウェブプラットフォームInteractome3D がデビューした (Nat. Methods)

2012年12月18日
ナノ粒子で腫瘍シグナルを尿中に感知する
腫瘍細胞で過剰発現するマトリックスメタロプロテアーゼ (MMPs) で開裂されるペプチドでコートされたナノ粒子が開発された。ペプチド断片は尿中に蓄積し、質量分析で検知される (Nat. Biotechnol.)

2012年12月18日
高血圧の原因を追って脳に遡る
脳弓下器官における小胞体ストレスがアンジオテンシンII 依存型高血圧を媒介することが報告された。脳弓下器は血液脳関門の外側にあり、新たな高血圧治療標的である (J. Clin. Invest.)

2012年12月18日
新規光受容体シアノバクテリオクロムの立体構造決定
光をエネルギー源として酸素発生型光合成を行う原核生物シアノバクテリアの光受容体シアノバクテリオクロムの光受容部位の立体構造が報告された (PNAS)

2012年12月18日
世界最強X線レーザービームが誕生
X線自由電子レーザー(XFEL) 施設SACLAにおいて、原子レベルの表面精度を持つ集光鏡により、1マイクロメートルの集光ビームの実現に成功 (Nature Photonics)

2012年12月18日
HIV治療薬が黄色ブドウ球菌感染にも有効
HIVが感染の際に用いるCCR5受容体が、黄色ブドウ球菌の産生するポア形成二成分白血球傷害性外毒素であるロイコトキシン (LukE-LukD)の受容体でもあることが分かった。このトキシンによる細胞死は、エイズ治療薬マラビロクを含むCCR5阻害剤で阻止できることが示された (Nature)

2012年12月18日
祖先の酵素を生き返らせる
酵母の二糖類マルトースを代謝する酵素ファミリーの進化の過程での遺伝子重複イベントと活性・選択性の変遷が詳細に調べられた (PLoS Biol.)

2012年12月18日
経皮吸収パッチの可能性が広がる?
角質層がニコチンやエストロゲンのような親油性小分子しか通さないため、薬剤の経皮吸収は限定的とされてきた。植物由来のグリコシル化テルペンが、分子量2000以上にもかかわらず、皮膚を浸透することが報告された (PNAS)

2012年12月12日
“健康な遺伝子変異”に着眼して新しいコレステロール降下薬を開発する
PCSK9遺伝子に変異のある人は生来コレステロールレベルが低いこと、また正常な酵素PCSK9は悪玉コレステロールLDLを血中から除去するLDL受容体を分解に導くという知見に基づき、製薬メーカー各社がPCSK9阻害剤の開発にしのぎを削っている

2012年12月12日
バイオイメージング用高輝度自発光タンパク質の開発
化学発光タンパク質と蛍光タンパク質をハイブリッド化することで、従来よりも10倍以上明るく光る高輝度化学発光タンパク質Nano-lantern (ナノ?ランタン) が開発された (Nat. Commun.)

2012年12月12日
ピロリ菌が強酸性の胃に生息するために必須のチャネルタンパク質の構造
ヘリコバクター・ピロリは胃液から尿素を取りこみ、アンモニアに分解して胃酸を中和しており、その尿素チャネルは生存に必須である。このチャネルタンパク質の構造が報告された (Nature)

2012年12月12日
藻類の葉緑体でがん標的治療薬を生産する
イムノトキシンは、抗体ドメインが標的がん細胞に結合し、毒素分子が細胞増殖を阻害する分子標的薬であるが、高価な製造原価が課題となっている。緑藻・コナミドリムシの葉緑体を用いてイムノトキシンタンパク質が生産された (PNAS)

2012年12月12日
iPS細胞に発現しているタンパク質を網羅的に検出
液体クロマトグラフィーと質量分析を組み合わせて、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)中に発現している約1万種のタンパク質が同定された (J. Proteome Res.)

2012年12月12日
嫌気回路:ハエは腐った餌を嗅ぎ当てて避ける
ショウジョウバエは、有毒なカビの発する揮発性化合物ゲオスミン (“大地の臭い“) を臭覚受容体 (Or56a) を介して嗅覚神経系で感知することが見出された。この回路は活性化されると生得的嫌悪を引き起こし、産卵や摂食を妨げる (Cell)

2012年12月12日
カロリー制限が長寿にもたらす効果
低カロリーダイエットやケトン食療法をを続けるとケトン体のβ-ヒドロキシ酪酸 (βOHB) が産生される。βOHB は、ヒストン脱アセチル化酵素 (HDACs) を阻害して酸化ストレスを低減し、細胞をエイジングから守ることが報告された(Science)

2012年12月06日
肥満:善玉脂肪に必須の酵素
キナーゼTyk2 (tyrosine-protein kinase-2) が、褐色脂肪組織 (BAT) の分化を介してマウスの肥満を制御することが報告された (Cell Metabolism)

2012年12月06日
苦味を感じる人工の舌
ヒト味覚受容体をポリマーナノチューブにコーティングして、フェムトモルレベルで苦味化合物を感知する電子センサーが試作された (Nano Lett.)

2012年12月06日
アミロイド線維形成に対する抗体阻害剤
6‐10 残基のアミロイド形成的ペプチドを単一ドメイン(VH) 抗体の相補性決定領域にグラフトすることにより、アミロイド形成に対する強力な抗体阻害剤が得られることが報告された (PNAS)

2012年12月06日
アルツハイマー病:新規ターゲットタンパク質β-アレスチン-2
β-アレスチン-2 が、βアミロイドタンパク質の産生とγ-セクレターゼの活性を制御していることが見出された (Nat. Med.)

2012年12月06日
アルツハイマー病:新規ターゲットタンパク質グリオキサラーゼ I
乳酸グルタチオンリアーゼ (glyoxalase I) の酵素活性を修復すると、モデルマウスの認知障害が軽減されることが報告された (ACS Chem. Neurosci.)

2012年12月06日
線虫はケミカル・デトックスで自衛する
C. elegans は、大腸菌が放出するインドールや緑膿菌からの1-ヒドロキシフェナジンなどの毒素をグリコシル化することより無毒化している (ACS Chem. Biol.)

2012年12月06日
ゼブラフィッシュ丸ごとスクリーニングで代謝を調べる
数千の化合物のin vivo スクリーニングから、空腹時の代謝を活性化する2種の化合物が見出された (Nat. Chem. Biol.)

2012年12月03日
細胞表面のトタンスポーターを抗がん剤のデリバリーに活用する
腫瘍細胞表面の輸送体MCT1 (monocarboxylate transporter 1) が、治験中の解糖系阻害剤3-ブロモピルビン酸 (3-BrPA) の細胞内侵入を担っていることが報告された (Nat. Genet.)

2012年12月03日
X線レーザーXFELによる初めてのタンパク質構造決定
アフリカ睡眠病を引き起こす寄生原虫トリパノソーマ・ブルセイの生存に必須のシステインプロテアーゼcathepsin B の“前駆体”の構造が決定された (Science)

2012年12月03日
既存薬の新用途:ロッシュとブロード研究所が提携
スイスの製薬大手Rocheで開発途上にお蔵入りした約300の化合物につき、Broad Institute of MIT and Harvardが新用途を求めて新たな解析をすることになった

2012年12月03日
癌の血液診断を目指す第一歩
腫瘍から血流中に放出された異常なDNAを配列解析することに基づく癌診断の試みが報告された。未だ進行癌を検知する感度しかないが、将来は初期腫瘍も診断できるようになる可能性がある (Sci. Transl. Med.)

2012年12月03日
COPD や喘息の治療薬を目指して
COPD (慢性閉塞性肺疾患) や喘息に繋がる気道細胞での過剰な粘液産生を抑えるためにMAPキナーゼ13 (MAPK13)の阻害剤が、MAPK14とその阻害剤の複合体構造を参照しつつ設計された (J. Clin. Invest.)

2012年12月03日
既存薬の新用途:抗寄生虫薬が結核に有効
寄生虫症を治療するために長らく使われてきたアベルメクチン系薬剤が、結核治療にも有効であることが見出された (Antimicrobial Agents and Chemotherapy)

2012年12月03日
インフルエンザウィルス粒子リボ核タンパク質の構造
ウイルスのゲノムRNAとRNA ポリメラーゼを含む会合タンパク質の構造が2チームから報告された (2 papers in Science)

2012年11月27日
トマトを武装する
害虫の嫌うテルペンを生合成する経路の遺伝子を野生株から取り出し、市販トマトに導入する試みが報告された。茎と葉にのみ7‐エピジンギベレンを生成するので、果実の味わいは変わらない (PNAS)

2012年11月27日
タンパク質フォールディング:過去を窺い将来を察する
配列と構造を結び付けるコードは何か? タンパク質はどうやって急速に折り畳まれるのか?構造はシミュレーションで予測できるか? (Science)

2012年11月27日
アイディアを孵化し、数十のベンチャーを立ち上げてきたMITの研究室
MITのDr. Robert Langer (64) は、がん、糖尿病、心臓疾患、統合失調症から増毛まで、薬剤やドラッグデリバリーシステムなどの製品を扱う25のベンチャーを設立してきている

2012年11月27日
マウスのアルツハイマー病様症状を軽減する
免疫応答を制御するインターロイキン(IL)-12 / IL-23シグナル伝達系を遮断すると、アルツハイマー病様症状が軽減されることが見出された (Nat. Med.)

2012年11月27日
マウスの自閉症様挙動を元に戻す
シナプスタンパク質neuroligin の過剰発現により引き起こされる神経の“ハイパーコネクション”は元に戻すことができることが示された (Nature)

2012年11月27日
過眠症:眠気の正体
過度の眠気の原因は、睡眠薬のように機能する脳内化合物であることが示唆された (Sci. Transl. Med.)

2012年11月27日
肥満に関わる膜タンパク質GPRC5B
脂肪細胞表面に局在するGPCRの一種であるGPRC5B (G-protein coupled receptor family C group 5 member B) が、脂肪細胞における肥満に関連した炎症反応を活性化することが見出された (Sci. Signal.)

2012年11月21日
構造を持つアミロイドと不定形なタンパク質凝集の両方の凝集を解く酵母タンパク質
酵母ヒートショックタンパク質104 (Hsp104) は、その6ヶのサブユニットがヘキサマーを形成してアミロイド線維を分解するのに対し、一つのサブユニットだけで不定形な凝集塊の凝集を解くという使い分けが明らかにされた (Cell)

2012年11月21日
ビール原料のホップに動脈硬化予防効成分
ホップに含まれるポリフェノールのキサントフモールが、CETP (Cholesteryl ester transfer protein) 活性を阻害することにより、HDLコレステロールを上昇させ、総コレステロール量を減少させる効果があると報告された (PLoS ONE)

2012年11月21日
ベンチャーフィランソロピーが創薬を加速する
Michael J. Fox Foundation for Parkison’s Research に代表される患者支援団体のベンチャー投資により、新しい薬剤ターゲットやヒット化合物を臨床フェーズに持ち込む成功例が増えてきている。代謝型グルタミン酸受容体mGluR4 (パーキンソン病)、ヒストンH3-K79メチルトランスフェラーゼDOT1L (急性白血病)などに関する具体例を交えたレポート

2012年11月21日
ミスフォールドしたタンパク質がパーキンソン病を細胞間伝染させる
ミスフォールドしたα-シヌクレインを合成し、マウスの脳に注入するとパーキンソン病症状が発症することが報告された (Science)

2012年11月21日
サルモネラ菌が免疫防御を不活化する仕組み
サルモネラ菌はエフェクタータンパク質SifAを分泌して、リソソームに加水分解酵素を再充填するキャリア‐の輸送を妨害し、貪食から免れることが見出された (Science)

2012年11月21日
家畜用抗生物質耐性菌が生じる予想外のプロセス
家畜体内で生じると考えられていた抗生物質耐性獲得の予想外のレシピが見出された:牛の糞と土壌と抗生物質を含む尿の組み合わせから薬剤耐性大腸菌が発生する (PLoS ONE)

2012年11月21日
アルツハイマー病と免疫応答を損なう遺伝子変異とのリンク
2グループの全く異なった出発点からの研究が、驚くべき符合で、アルツハイマー病に関わる遺伝子変異に収斂した:TREM2の変異が、アミロイド斑の蓄積を防ぐ能力を妨げるのではないかと疑われている (2 papers in New Engl. J. Med.)

2012年11月14日
オープンアクセスイニシアティブから顧みられない熱帯病のヒット化合物の成果
DNDi(顧みられない病気のための新薬イニシアティブ)とMMV (Medicines for Malaria Venture: マラリア薬チャレンジ基金) は、眠り病 につき2種、リーシュマニア症につき1種のヒット化合物を同定したと発表した

2012年11月14日
エストロゲンホルモンの狙いを定めたデリバリー:メタボリックシンドローム
インスリン分泌を促進するペプチド消化管ホルモンのグルカゴン様ペプチド1 とエストロゲンから成る抱合体がインスリン分泌、血糖、体重を顕著に改善することが報告された。ペプチドによる標的デリバリーによりエストロゲン特有の副作用も見られない (Nature Medicine)

2012年11月14日
結晶構造解析とシミュレーションで抗生物質耐性に迫る
X線構造解析と分子動力学シミュレーションを用いて、β-ラクタマーゼに属する酵素カルバペネマーゼがβ-ラクタム系抗生物質カルバペネムをどう認識し、分解するかが報告された (J. Amer. Chem. Soc.)

2012年11月14日
何を食べるかかだけでなく、何時食べるかも重要
脂肪細胞で時計遺伝子Arntl (Bmal1とも呼ばれる)を欠損したマウスは、食餌の時間がシフトし肥満することが見出された(Nature Medicine)

2012年11月14日
創傷治癒と免疫のリンク
血液凝固過程で重要な役割を果たすタンパク質凝固第X因子 (FX) が、アデノウイルスと結合し、感染に応答する抗ウイルス免疫に関与していることが示された (Science)

2012年11月08日
2型糖尿病に有望なバイオマーカータンパク質
2型糖尿病患者では診断の数年前から、炎症プロセスで重要な役割を果たすタンパク質SFRP4 (secreted frizzled-related protein 4)が, 血清中で増加していることが見出された (Cell Metabolism)

2012年11月08日
X線結晶学誕生100周年
100年前の今週、Lawrence Bragg が、後に鉱物学から生物学に渡る広い領域に革命を起こすことになる「フラッグの法則」を発表した

2012年11月08日
タンパク質のフォールディングをゼロから設計する
一連の規則に従い、5種のタンパク質につき、スクラッチから理想的なコンフォメーションへ折り畳まれると予測されるアミノ酸配列が設計された (Nature)

2012年11月08日
疾患関連遺伝子変異のワンストップショッピング
NIHのNCBIが、文献と臨床遺伝子検査ラボのデータから疾患関連遺伝子変異情報を統合するデータベースClinVar の構築を始めた。検査ラボデータの登録も受け付ける

2012年11月07日
100ピコ秒時間分解タンパク質結晶構造解析 
光受容タンパク質photoactive yellow protein (PYP)の光応答素過程?trans→cis異性化、水素結合の切断と形成、ひずみの発生と緩和、水分子のPYP内への浸透などがリアルタイムで観察された (PNAS)

2012年11月06日
メタボロミクスが明らかにした古い抗生物質の作用メカニズム
60年間使われてきている抗結核薬p-アミノサリチル酸 (PAS) は、結核菌の鍵酵素を直接阻害するのではなく、プロドラッグ(前駆薬剤)として機能することが報告された (Science)

2012年11月05日
新しいターゲット酵素:アルツハイマー病
脳内で産生される麻薬性物質カンナビノイドを代謝するモノアシルグリセロールリパーゼ (MAGL) を阻害するとβアミロイド斑の生成と蓄積を抑えることが報告された (Cell Reports)

2012年11月05日
新しいターゲット酵素:食物アレルギー
ピーナッツアレルギーマウスの小腸ではPim 1キナーゼが高発現しており、この酵素を阻害するとアレルギー反応が抑制されることが見出された (J. Allergy & Clinical Immunol.)

2012年11月05日
ビール党に泡立つニュース:ビールを泡だてるタンパク質
ビール酵母ラガー株細胞壁形成タンパク質Cfg1p がビールの泡を安定化することが見出された (J. Agric. Food Chem.)

2012年11月01日
構造生物学:創薬への展開の鍵はオープン・コラボレーション
Structural Genomics Consortium (SGC) と産学の研究者との共同研究から、BRD4 (bromodomain-containing protein 4 )、JMJD3 (lysine-specific demethylase 6B ) 、EHMT2 (histone-lysine N-methyltransferase) などのターゲットタンパク質の阻害剤が見いだされてきた

2012年10月30日
アレルギーを引き起こす抗体?受容体複合体の解体
急性アレルギーの原因であるIgE 抗体?FcR受容体複合体から抗体を切り離す合成タンパク質阻害剤DARPin E2-79が報告された (Nature)

2012年10月30日
恐れなく食べること:食物アレルギー治療の進展
免疫療法と、IgE 抗体をターゲットとする薬物療法が、食物アレルギー患者に朗報をもたらし始めている

2012年10月29日
緑内障治療薬に育毛効果
緑内障治療薬としてFDA認可済みのプロスタグランジン誘導体ビマトプロストの育毛効果が報告された (FASEB J)

2012年10月29日
タンパク質合成を促進するアンチセンスRNA
タンパク質合成を阻害すると考えられていたアンチセンスRNAの中に、タンパク質合成を促進する機能も持つものがあることが見出された (Nature)

2012年10月24日
プラセボ効果の分子生物学的基盤
カテコール-O-メチル基転移酵素 (COMT) は、プラセボ反応の鍵因子とみなされているドーパミンの異化反応系における重要な酵素である。COMTのバリン→メチオニン変異がプラセボ効果の有望なバイオマーカーであることが見出された (PLoS ONE)

2012年10月23日
自然な環境に置かれたGPCRの3次元構造
CXCR1 は、免疫・炎症反応メディエーターのインターロイキン8の受容体で、 Gタンパク質共役型受容体(GPCR) ファミリーに属する。NMRを用いて、リン脂質二重層に埋め込まれたヒトCXCR1の構造が明らかにされた (Nature)

2012年10月23日
電子顕微鏡:細胞タンパク質の高解像度可視化のためのタンパク質タグ
GFP (緑色蛍光タンパク質) の電子顕微鏡版が設計された‐アスコルビン酸ペルオキシダーゼ (APX) タグはタンパク質をラベルし、鮮明に可視化する (Nat. Biotech.)

2012年10月22日
転写開始複合体の構造
RNAポリメラーゼがDNAのプロモーター部位を認識し、転写を開始する転写プロセスの構造的基盤が報告された (Science)

2012年10月22日
治療の難しい膵臓癌に有効な化合物
漢方薬の雷公籐に含まれる免疫抑制作用を有する成分トリプトリドの水溶性アナログのMinnelidが膵臓腫瘍増殖を抑えるという前臨床評価結果が報告された (Sci. Transl. Med.)

2012年10月22日
あり得ないペアがタンパク毒素をシェア Unlikely Pair Share Toxin
ツマベニチョウ(褄紅蝶)と捕食性のイモガイ(芋貝)のナンヨウクロミナシは、共通の63アミノ酸から成るglacontryphan-M と呼ばれるペプチド毒素を有していることが見出された (PNAS)

2012年10月17日
風邪ウイルスタンパク質から形成される高分子マトリックスが腫瘍抑制タンパク質をトラップする
X線構造解析と高次構造解析から、アデノウイルスのオンコプロテインE4-ORF3は不規則なウェブ状構造に自己組織化し、様々な腫瘍抑制タンパク質を不活性化することが報告された (Cell)

2012年10月12日
食欲・代謝調節ホルモンレプチンはその受容体とどのように結合するか
クライオ電子顕微鏡を用いて、レプチン受容体の細胞外領域の構造が、フリーの状態とレプチンが結合した状態で比較して解析された (Mol. Cell)

2012年10月11日
GPCRの構造: ニューロテンシンが結合した受容体
神経ペプチドホルモンのニューロテンシンは、脳ではドーパミン作動系の活性、痛覚消失、食物摂取の抑制などを調節し、腸では消化プロセスを制御する。Gタンパク質共役型受容体であるニューロテンシン受容体NTSR1にニューロテンシンが結合した複合体の構造が報告された (Nature)

2012年10月11日
ニューロテンシンは、女性の糖尿病、心臓発作、乳癌の発症リスクを増加する
ニューロテンシン前駆体の血漿濃度は糖尿病、心血管疾患、乳癌の発症と有意に相関することが見出された (JAMA)

2012年10月11日
中皮腫の早期発見
細胞外マトリックスタンパク質のfibulin-3が中皮腫の血中バイオマーカーであることが報告された (NEJM)

2012年10月10日
ライソゾーム病の分子シャペロン療法
シンドラー/神崎病はα-N-アセチルガラクトサミニダーゼ (α-NAGAL)の酵素機能異常によって引き起こされる先天性代謝異常疾患である。構造解析の力を借りて、イミノ糖DGJNAcが欠陥のあるα-NAGALを安定化するシャペロンとして機能することが報告された (PNAS)

2012年10月10日
テルペン代謝系の還元酵素IspH のアセチレン加水酵素活性
鉄硫黄クラスターを持つタンパク質IspHは 病原菌のテルペン代謝系の還元酵素で、抗菌剤開発のターゲットである。構造解析の力を借りて、IspHは還元酵素としての機能に加え、アセチレンをアルデヒドやケトンへと水和する活性も有することが見出された (Nature Commun.)

2012年10月09日
NMR による可視化:RNAの励起状態への構造遷移
NMRを用いて、2種類のHIVウイルスRNAとリボソームの品質管理に関わるRNAのトランジェンとな構造変化が観察された (Nature)

2012年10月09日
抗うつ剤としての解離性麻酔薬ケタミン
NMDA受容体拮抗薬であるケタミンは、神経伝達物質グルタメートの放出を促しシナプス成長を刺激することにより症状を緩和することが報告された (Science)

2012年10月09日
苦味受容体が上気道防御系を制御する
T2R38味覚受容体の多型性が上気道感染のしやすさを決めていることが見出された (J. Clin. Invest)

2012年10月09日
植物の毒に対抗する昆虫の平行進化
植物の葉に含まれる強心配糖体カルデノリドの毒性に対し、昆虫はイオン輸送タンパク質ATPαに変異をもたらし、摂取したカルデノリドと結合しないように進化してきたことが報告された (Science)

2012年10月09日
ヘビ毒から見出された鎮痛剤
コブラ科ブラックマンバから抽出されたペプチドが皮膚や中枢神経の酸感受性イオンチャネル(ASICs) をブロックすることにより痛みを和らげることが見出された (Nature)

2012年10月09日
ブロッコリーで細菌を黙らせる
ブロッコリーに含まれるスルフォランなどのイソチオシアナートが、細菌の転写活性因子LasR拮抗剤として機能し、クオラムセンシングと呼ばれる細菌間情報伝達を妨げることが見出された (MedChemComm)

2012年10月04日
構造生物学:バクテリアタンパク質がヒ素よりもリンを好む訳
詳細な構造解析から、タンパク質とリン酸塩の水素結合と較べヒ素酸塩のそれはひずんでいることが示され、構造生物学からもarsenic-based life説が否定された(Nature)

2012年10月04日
アスベスト暴露による悪性胸膜中皮腫の早期発見
中皮腫を早期に診断可能とする13種類の血中タンパク質マーカーからなるパネルが報告された (PLoS ONE)

2012年10月04日
卵巣がん治療薬:タンパク質ジスルフィド異性化酵素の不可逆阻害剤
卵巣癌細胞で高発現するタンパク質ジスルフィド異性化酵素 (PDI)の活性サイトのシステインと共有結合を生成する小分子不可逆阻害剤PACMA31 が見出された (PNAS)

2012年10月03日
合成酵素で腫瘍を飢えさせる
癌細胞は、健常細胞よりもずっと多くのメチオニンを消費する。シスタチオニンγリアーゼを改変して得られたメチオニン分解酵素の抗腫瘍能が報告された (ACS Chem. Biol.)

2012年10月01日
ミトコンドリア機能の低下した細胞が周辺の良性腫瘍をがん化する仕組み
ショウジョウバエを用い、ミトコンドリア機能を低下させると、炎症性サイトカインUpd (IL-6ホモログ) と細胞増殖因子Wg (Wntホモログ) が分泌され、これらによってその周辺の良性腫瘍ががん化する仕組みが明らかにされた (Nature)

2012年10月01日
ショウジョウバエの肥満ホルモン
ハエの栄養感知タンパク質Upd2 は、ヒトの食欲や代謝の制御に関与するホルモンであるレプチンの"機能的ホモログ" であることが報告された (Cell)

2012年09月26日
エイズウイルス(HIV)に対する防御タンパク質APOBEC3Cの構造
HIV は自身が作り出すタンパク質VifによってAPOBEC3 を分解し、防御システムから逃れる。Vif が相互作用するAPOBEC3C上のポケット構造(治療標的)が見出された(Nat. Struct. Mol. Biol.)

2012年09月25日
中性子線構造解析:酵素‐薬剤複合体の水素や水素結合を可視化する
中性子線結晶法を用いて、ヒト炭酸脱水酵素に阻害剤で緑内障治療薬アセタゾラミドが結合した複合体の構造が解かれた。X線結晶法では観察が難しい水素、重水素、水素結合、荷電状態が可視化された (J. Am. Chem Soc.)

2012年09月24日
1日1錠のアスピリンでがんを予防?
一連のプラセボ対照臨床試験から、低用量のアスピリンの定期的服用がいくつかのがんの罹患リスクを低減すると報告されている (Lancet & Lancet Oncology)

2012年09月24日
がん研究がもたらした予期せぬ新規ナイロン合成法
がんが引き起こす酵素の変異の研究から、セレンディピティな発見が生まれた;安価で環境に優しい一連の酵素反応によるナイロン合成でミッシングリンクとされていた酵素が得られた (Nature Chemical Biology)

2012年09月19日
酵素補充療法用のタンパク質をトウモロコシに作らせる
先天性代謝異常疾患であるライソゾーム症治療用に向けて、免疫原性リスクとなる植物特異的な糖分子の修飾をコントロールしながら、トウモロコシ細胞でα-L-イズロニダーゼ が産生された (Nature Commun.)

2012年09月18日
創薬重要ターゲットGPCRの大部分の活性化を検出するアッセイ法
GPCR (Gタンパク質共役受容体) 発現細胞をリガンドで刺激し、ついで細胞表面からのタンパク質の放出に見られる反応を測定する汎用的な「切断アッセイ」が報告された。さらに、これまでにリガンドが知られていなかったオーファン受容体3個に内因性のリガンドが見出された (Nature Methods)

2012年09月18日
非ホジキン(B細胞)リンパ腫の、ユビキチン化を介した発症メカニズム
脱ユビキチン化酵素A20が直鎖状ユビキチンに結合することでNF-κB経路を制御し、非ホジキンリンパ腫の発症機構に関与することが報告された (EMBO J.)

2012年09月18日
マールブルグウイルスはどうやって免疫系をすり抜けるのか
マールブルグウイルスの二本鎖RNA を取り囲み、免疫系からマスクするタンパク質VP35の構造が報告された (PLoS Pathogens)

2012年09月18日
D型タンパク質リガンドが創薬ターゲットタンパクを阻害する
タンパク質の化学合成、鏡像ファージディスプレイ、ラセミ構造解析を駆使して、血管内皮成長因子VEGF-AのD型タンパク質拮抗薬が見出された (PNAS)

2012年09月18日
コレステロールと癌のリンク
コレステロール排出輸送体ABCA1はミトコンドリアのコレステロールを低レベルに保つことにより抗癌活性を示すことが報告された (Cell Reports)

2012年09月12日
植物の耐病性を向上させる新規プラントアクティベーター
新たに開発された薬剤スクリーニング手法を用いて、病原体に感染したときだけ植物の免疫力を高め、耐病性を向上させる化合物プラントアクティベーター5種が見出され、その作用メカニズムが解明された (Plant Cell)

2012年09月12日
乾燥ストレス条件下で植物の生長を制御する転写因子OsPIL1の同定
OsPIL1を過剰発現させたイネの背丈が通常生育条件下では約2倍増加し、一方乾燥ストレスを受けた植物は、OsPIL1の働きを抑え、その結果として生長が抑えられているという分子機構が明らかにされた (PNAS)

2012年09月11日
大規模膜タンパク質相互作用ネットワーク
酵母の膜タンパク質 (MP) の相互作用パートナーがタンデム質量分析法で解析され、1,110の新規報告を含む総計1,726 のMP - タンパク質相互作用が見出された (Nature)

2012年09月10日
不定形ペプチドとの融合でタンパク質凝集を防ぐ
凝集しやすいタンパク質にintrinsically disordered proteinのタグを付けてその溶解性を向上させる手法が報告された (Biochemistry)

2012年09月10日
アミノ酸が欠乏する珍しい型の自閉症
代謝酵素の変異のためロイシン、バリンなどの分枝鎖アミノ酸が欠乏する型の自閉症が同定された (Science)

2012年09月06日
予算カットでデータベースが存続の危機
米国NIH傘下の国立医学図書館 (NLM) の予算カットのため、BMRB (Biological Magnetic Resonance Data Bank) やCASP (Critical Assessment of Techniques for Protein Structure Prediction) を含む5つのデータベースやツールが存続の危機にある

2012年09月06日
ヒトゲノム:“ジャンク”DNAの果たす重要な役割
ENCODE (Encyclopedia of DNA Elements) プロジェクトの結果が一斉に発表された;ヒトゲノムの約80%はジャンクどころか活性で、多くのRNAは、タンパク質合成のための仲介メッセンジャー分子ではなく、最終産物であることが報告された (Nature, Science, Genome Research and Genome Biology)

2012年09月05日
アルツハイマー病:予防的臨床試験に期待
遺伝的素因あるいはアミロイド斑のレベルに基づき将来の発症確立が高いと診断された患者を対象に、抗アミロイド薬が早期症状の発症を防げるかあるいは認知機能低下を抑止できるかを調べる3件の臨床試験が来年スタートする

2012年09月05日
コレステロール低下薬スタチンがリンパ管新生を阻害する
リンパ管新生は腫瘍原発巣からのリンパ液がセンチネルリンパ節に入り込むプロセスにも必須である。化合物スクリーニングからスタチンはリンパ管新生阻害剤であることが見出された (PNAS)

2012年09月03日
ハプトグロビン‐ヘモグロビン複合体の構造
血漿タンパク質ハプトグロビンは、溶血時の遊離ヘモグロビンと特異的に結合し代謝に導き、溶血に伴う腎障害を抑制する。そのハプトグロビン‐ヘモグロビン複合体の構造が明らかにされた (Nature)

2012年09月03日
結核のポイントオブケア検査
結核菌のβラクタマーゼの選択的基質が切断されて生じる蛍光プローブを用いて、LEDを用いた簡便なライトボックスと携帯カメラで唾液サンプルから結核菌を検出できることが示された (Nat. Chem.)

2012年08月31日
スペシャリスト酵素vs. ゼネラリスト酵素
大腸菌の代謝ネットワークの解析から、特異的な基質の決まった反応を触媒するスペシャリスト酵素は細胞増殖に不可欠であるのに対し、多くの基質に働くゼネラリスト酵素の細胞増殖への関与は弱いことが報告された (Science)

2012年08月31日
青色のアジサイを咲かせるのに必要なアルミニウム輸送体
細胞外から細胞内へ、および細胞内から液胞内へアルミニウムを運ぶ2 種類の輸送 体が見出された。この仕組みの利用により、青い花の育種に可能性が広がる (PLoS One)

2012年08月31日
海洋でのメタン生成の謎を解く
Nitrosopumilus maritimus と呼ばれる海洋微生物がメチルホスホネート生合成機構を有しており、これを別の微生物がメタンへと代謝することが明らかにされた (Science)

2012年08月31日
土壌が薬剤耐性菌の源かもしれない
土壌に棲む微生物が、ヒト病原体と同じ薬剤耐性遺伝子を持っていることが報告された (Science)

2012年08月29日
生きた細胞の膜タンパク質を探る
自然な状態にある膜タンパク質の細胞表面での分布やリガンドとの結合状態を調べるためにラベルを必要としない表面プラズモン顕微鏡が考案された (Nature Chemistry)

2012年08月29日
エイズウイルスの力を借りて癌と戦う
HIV-1の誤りの多い複製機構と安定的に導入遺伝子をヒト細胞に組み込む力を活用して、癌治療に使われるヌクレオシド誘導体薬剤を活性化するデオキシシチジンキナーゼ (dCK) の80種の変異タンパク質ライブラリーの作製とスクリーニング結果が報告された (PLoS Genetics)

2012年08月28日
化合物で解糖酵素を活性化して腫瘍形成を妨害する
癌細胞は正常細胞よりもグルコースを大量に消費して、増殖に用いる。癌細胞でグルコースをエネルギー産生ではなく同化経路で用いているピルビン酸キナーゼ (PKM2) を活性化することにより腫瘍形成を抑制する化合物が見出された (Nat. Chem. Biol.)

2012年08月27日
大学発創薬:多発性骨髄腫治療薬認可までの道のり
天然物エポキソミシンの抗腫瘍活性発見、その全合成、ターゲットタンパク質プロテアソームの同定、選択的結合の構造解析、誘導体合成から臨床試験を経て本年7月のFDA認可までの歩み

2012年08月27日
バクテリアのIV 型分泌装置を武装解除する
グラム陰性桿菌ブルセラ菌が病原因子を宿主に送り込むIV 型分泌装置のタンパク質VirB8をターゲットとして、ハイスル-プットスクリーニングからヒット阻害剤が、X 線構造解析から阻害剤の結合サイトが見出された (Chemistry & Biology)

2012年08月27日
HIV やインフルエンザウイルスのワクチンの効果を増強する化合物
高分子化合物ポリエチレンイミンがHIV 、インフルエンザ、ヘルペスウイルスのワクチンの強力なアジュバントであることが報告された (Nature Biotechnology)

2012年08月23日
自然免疫細胞膜受容体ファミリーToll様受容体をターゲットにする小分子
自己免疫疾患や癌に関わるToll様受容体TLR1とTLR2の界面に結合する小分子プローブが開発された

2012年08月23日
全ゲノムシーケンス解析で死者の出た院内感染を追跡する
NIH臨床センターで抗生物質耐性の肺炎桿菌の全ゲノム解析から、予想外の感染経路と想定以上の潜伏期間が明らかにされた。この結果は病院での院内感染への対処法に変革をもたらすであろう (Sci. Transl. Med.)

2012年08月22日
系統的に進化過程を比べて創薬を加速する
酵母で細胞壁の維持を担う遺伝子/タンパク質群が、脊椎動物では血管形成に用いられていることを活用し、酵母のパスウェイをターゲットにする化合物の探索から、認可殺菌剤チアベンダゾールが血管新生阻害剤であることが見出された (PLoS Biology)

2012年08月20日
男性用避妊薬リード化合物
BRD4タンパク質をターゲットに抗癌剤として開発されてきたJQ1化合物が、同じくブロモドメインを有し、精巣に特異的に発現するBRDT (Bromodomain testis-specific protein) の阻害剤であることが構造解析からも示された (Cell)

2012年08月20日
プロスタグランジンへの近道
有機合成:短縮された合成経路により、安価な薬剤や新規の類縁体の開発が期待される (Nature)

2012年08月20日
関節リューマチ薬が潰瘍性大腸炎にも有望
関節リューマチ治療薬としてFDA が審査中の薬剤が瘍性大腸炎にも有効との臨床試験結果が報告された (NEJM)

2012年08月20日
大腸菌と大腸癌のリンク
炎症性腸疾患のマウスの腸内菌叢は、DNAを損傷するバクテリアが優勢であることが見出された (Science)

2012年08月20日
ビデオ論文:マラリア原虫とHIV ウイルスの相互作用
マラリア原虫に感染した赤血球が単球由来マクロファージでのHIV-1の複製に与える効果を調べる手法がビデオ論文として報告された (J. Visualized Experiments)

2012年08月15日
出芽酵母を媒介する社会性のハチ類
人類は9,000年にわたり酵母の恩恵を受けてきたが、酵母が冬をどうやって過ごすのか知られていなかった。スズメバチやアシナガバチの腸内が酵母の棲家であることが見出された (PNAS)

2012年08月15日
アミロイドベータを別のルートで攻める
酸化された脂質によって活性化されアミロイドベータの増加をもたらすGPCRであるトロンボキサンA2受容体をブロックする化合物が開発された (ACS Chem. Neurosci.)

2012年08月07日
青ジソから生体内抗酸化力を高める成分を発見
青ジソに含まれるカルコン系化合物DDCが、生体内抗酸化システムNrf2 - Keap1系を活性化し、抗酸化タンパク質を増加させることが見出された (Free Radical Biology & Medicine)

2012年08月06日
構造情報に基づくドラッグデザイン:インフルエンザウィルスのポリメラーゼを狙い打つ
X線構造解析を活用して、ポリメラーゼのエンドヌクレアーゼ活性を阻害する化合物が開発された (PLoS Pathogens)

2012年08月06日
ペプチドエンジニアリング:院内感染の主因菌MRSAに有効なペプチドを探し出す
抗菌ペプチドデータベースから有望な特性の組み合わせを持つペプチドを生成するフィルター手法が報告された (J. Am. Chem. Soc.)

2012年08月06日
トランスポートエンジニアリング:作物の栄養価向上を目指して
人間や家畜にとっては有害な、植物の防御化合物グルコシノレートの種子への長距離移行を担う2種類のトランスポータータンパク質が同定された (Nature)

2012年08月06日
ビデオ:細胞の飲食
時間分解電子線トモグラフィーを用いて、細胞が栄養分などの分子を貪食する様子を描写するビデオが作成された (Cell)

2012年08月02日
癌幹細胞の存在を示す証拠が積み重なる
脳、皮膚そして腸の腫瘍で癌幹細胞が腫瘍増殖の源であることが報告された (two papers in Nature, one in Science)

2012年08月02日
既存薬の新用途を探す
薬剤とターゲットタンパク質の相互作用を予測するため、11の因子を考慮したプロテオケモメトリックな計算手法が開発され、3671のFDA認可薬に適用した結果が報告された (J. Med. Chem)

2012年07月30日
隠れているAIDSウィルスをたたき起す
AIDSの治癒を目指して、免疫系を逃れて潜伏するウィルスを除去する試みが取り組まれている

2012年07月30日
網膜変性症の治療:盲目マウスに光感受性を取り戻す小分子
開発された光スイッチ分子AAQのトランス体はカルシウムチャネルをブロックするが、シス体に光異性化するとブロックが解除され網膜ニューロンが発火し、視覚入力が脳に送られる (Neuron)

2012年07月26日
アミノ酸の栄養不良と腸内細菌叢の状態や腸炎とを結び付ける酵素
ACE2 (アンギオテンシン変換酵素2) が、食物由来のアミノ酸の恒常性や自然免疫、腸内細菌叢、腸炎に対する移植可能な感受性を調節する重要な因子であることが明らかにされた (Nature)

2012年07月23日
ほどけて別の形に折り畳み新しい機能を発揮するタンパク質
αへリックスからβバレルへのドメインスイッチが、RfaH を転写因子から翻訳因子に変換することが見出された (Cell)

2012年07月23日
胃がんを引き起こすピロリ菌がんタンパク質CagAの立体構造
ピロリ菌の体内で産生された後、菌が保有するIV型分泌機構を介して胃の細胞内に注入される発がん性エフェクターCagAの構造が報告された (Cell Host & Microbe)

2012年07月19日
狙い澄ましたタンパク質分解:ターゲットタンパク質を阻害するのではなく分解に導く
疎水性合成小分子で目印を付けられたタンパク質が細胞の品質管理機構により分解されることが見出された。創薬に向けたターゲットタンパク質の候補が広がる可能性がある (Chem. Biol.)

2012年07月17日
ビデオ:タンパク質フォールディングシミュレーション
GFP (緑色蛍光タンパク質) の折り畳み過程のシミュレーション結果が、以前の熱力学・反応速度論の実験データと良く一致することが報告された (PNAS)

2012年07月14日
G蛋白質結合受容体 (GPCR) のクローズアップ
再構築したA2aアデノシン受容体の1.8 オングストローム高解像度構造から、水分子、ナトリウムイオン、脂質/コレステロールがGPCRの安定化や機能に果たす役割に関する知見が得られた (Science)

2012年07月14日
生物時計に基づく糖尿病治療を目指して
概日リズム調節タンパク質クリプトクロム (CRY) は肝臓でのグルコース産生も制御する。CRY に選択的に結合し、そのユビキチン依存性タンパク質分解を防ぎ、生物時計を延長する効果をもたらす小分子が見出された (Science)

2012年07月12日
ベータアミロイド産生を抑える遺伝子変異
アミロイド前駆体タンパク質遺伝子の稀な変異が、人々をアルツハイマー病から守るという発見は、アルツハイマー病のベータアミロイド仮説を強固に裏付けるものである (Nature)

2012年07月12日
アルツハイマー病の兆候:発症の 25年も前に前兆が掴める
症状が表れるよりずっと前から、アミロイドベータ42やタウタンパク質の増減が始まることが明らかにされた (NEJM)

2012年07月10日
アディポネクチンがマウスのうつ様症状を抑制する
現在用いられている全ての抗うつ薬は2型糖尿病罹患リスクを高める。抗糖尿病性のペプチドホルモンであるアディポネクチンで見出された効果は、新たな抗うつ薬開発の手がかりとなる (PNAS)

2012年07月10日
狙いを定めた阻害:雑草成分を用いた抗がん剤前駆体
セリ科植物タプシアから抽出されたカルシウムポンプ阻害剤タプシガルジンを癌細胞表面の抗原に選択的に結合するペプチドと組み合わせたプロドラッグが開発された (Sci. Transl. Med.)

2012年07月09日
癌の脆弱なターゲット遺伝子をシーケンシングで探す
Washington Universityのチームが、急性リンパ性白血病に罹った同僚の白血病研究者の全ゲノムならびにmRNA解析からFLT3遺伝子の過剰発現を突き止め、腎臓癌に適用されるFLT3受容体遮断薬sunitinib (Sutent) で、白血病の小康を得ている

2012年07月09日
肥満と動脈硬化症の両方を制御するシグナリングパスウェイ
Ppm1d (Wip1) 遺伝子を欠損するマウスは、血管拡張性失調症変異(ATM) 遺伝子の活性化によるmTor シグナリングの減弱化のためオートファジーが増強され、体重増と動脈硬化を起こしにくいことが見出された (Cell Metabolism)

2012年07月05日
印刷革命:3次元印刷を活用するサイエンス
研究開発の現場で3Dプリンターが活躍し始めている

2012年07月05日
癌を助けるタンパク質:何故分子標的療法は急速にその効力を失うのか
癌細胞は、その周囲の組織からリクルートした肝細胞増殖因子のようなタンパク質の助けを借りて分子標的薬の攻撃に耐える (2 papers in Nature)

2012年07月05日
感染症:抗生物質に代わる治療法を目指して
免疫系のタンパク質NLRP6を持たないマウスはバクテリア感染に強いことが見出された。NLRP6を中和する化合物が感染症治療のオプションになるかもしれない (Nature)

2012年07月03日
肥満症治療薬がFDAの承認を取得
エーザイの米国子会社が開発したBelviq (一般名lorcaserin) は、脳内セロトニン2C受容体を刺激することにより食物渇望を抑制し、体重を減少させる (Obesity)

2012年07月03日
白色腐朽菌のペルオキシダーゼが木材中のリグニンを分解する
31種の真菌類の比較ゲノム解析から、白色腐朽菌が、セルロースマトリックス中で不均一に架橋するフェノール樹脂で分解の困難なリグニンを劣化する能力を獲得する進化の過程が明らかにされた (Science)

2012年06月30日
何故スーパーのトマトの味はぼやけているのか?
野生のトマトのSlGLK2遺伝子はむらのある着色をするが、均一の着色をするよう選ばれた市販トマトは、この遺伝子の変異のためコードされるタンパク質は不活性で、甘さやリコペンなどの直物栄養素に欠ける (Science)

2012年06月26日
急性放射線症候群の治療の新薬候補
タンパク質トロンボモジュリンは、抗凝固作用、抗炎症作用をもつ活性型プロテインCの生成を助ける。遺伝子組み換えによるトロンボモジュリンや活性型プロテインCを静脈内注入すると、全身に放射線照射したマウスの死亡を防ぐことが見出された (Nat. Med.)

2012年06月26日
抗うつ作用を持つタンパク質Neuritin
ラットを用いて、neuritin 遺伝子をノックダウンするとうつ症状を示し、そのタンパク質レベルを増強すると症状が回復することが示された (PNAS)

2012年06月25日
単一のアミノ酸が有毒なアミロイド状原線維を形成する
フェニルアラニンが有毒な原線維に会合することが見出され、フェニルケトン尿症がアミロイド病の一種であることが示唆された (Nat. Chem. Biol.)

2012年06月24日
自然免疫:防御タンパク質がクモの巣状“ナノネット”を織り微生物の侵入を防ぐ
腸内抗菌性ペプチドのαデフェンシン 6 (HD6) は微生物の表面と結合し、それを取り巻いて絡まりナノネットを形成し、バクテリアが腸管細胞に接触し侵入することを防ぐ (Science)

2012年06月24日
プリオンはDNAとチームを形成する
病原性プリオンはDNAと結合し、有毒な凝集体を形成する(Biochemistry)

2012年06月24日
活性酸素種を源で摘み取る化合物
Nox2 (NADPH Oxidase 2) の触媒活性サイトではなく、その集合体形成を妨げる化合物スクリーニングから、急性脳卒中や難聴に対して治験中の薬剤エブセレンが同定された(Chem. Biol.)

2012年06月21日
ゲノム配列情報から膜タンパク質の3次元構造を予測する
DNA配列の進化的履歴から抽出されたアミノ酸の共変動情報から膜貫通タンパク質の折り畳みが予測された (Cell)

2012年06月21日
筋ジストロフィー: MG53 タンパク質が組織損傷の修復に有望
大腸菌を用いた発酵により精製された組換えタンパク質MG53 (TRIM72)が、筋細胞と非筋細胞の両方において損傷を修復すると報告された (Sci. Transl. Med.)

2012年06月21日
リンゴの皮がマウスの肥満を防ぐ
リンゴの皮に大量に含まれるウルソール酸が、筋肉と褐色脂肪の2種類のカロリーを消費する組織を増やすことによって肥満を防ぐことが見出された (PLoS One)

2012年06月20日
抗がん剤:抗体薬物複合体 (Antibody-Drug Conjugates)
健常細胞は避け、特定のがん細胞を標的とする抗体と、強力な抗がん剤をリンカーで組み合わせたAntibody-Drug Conjugate (ADC) の成功例を受けて、多くの製薬メーカーがADCの開発に力を入れている

2012年06月20日
輸送に関わるタンパク質の阻害剤が急性白血病に有望
p53やヌクレオフォスミンなどの腫瘍抑制因子の輸送に関わる核外輸送受容体CRM1 (Exportin-1) の阻害剤の抗白血病性活性が報告された (Blood)

2012年06月19日
バクテリアを監視するタンパク質STINGの構造
構造解析から、STING (stimulator of interferon genes) はバクテリアが分泌するc-di-GMP (サイクリックジグアニル酸)と直接結合してインターフェロン応答を誘発し、免疫細胞を活性化することが見出された (Mol. Cell)

2012年06月19日
予算削減が日本の科学者の給料を脅かす
緊縮政策で公共部門のサラリーが10%まで減少されることに懸念が広がっている

2012年06月19日
分子レシピ:素材の新奇な組み合わせ
物議をかもすflavor pairing 理論により、キャビアとホワイトチョコレート(アミン)、レバーとジャスミン(インドール)など、共通の香味分子を組み合わせるレシピが提案されている

2012年06月18日
アルツハイマー病ターゲットのカスパーゼを特異的に阻害する
タンパク質分解酵素のカスパーゼファミリーは互いに極めて類似した活性サイトを持つため、その阻害剤は副作用の問題に付きまとわれてきた。新しい着眼からカスパーゼ6を選択的に阻害するペプチドが見出された (Nat. Chem. Biol.)

2012年06月15日
植物ホルモンサリチル酸 (1) ようやく見つかった受容体
植物で病原体の攻撃に反応して作られ、二次感染に対する全身的な獲得抵抗性を誘導するサリチル酸の受容体が同定された (Nature)

2012年06月15日
植物ホルモンサリチル酸 (2): サリチル酸ディフェンスをすり抜ける病原菌
植物病原菌であるシリンゲ菌が分泌する毒素コロナチンは、植物ホルモンジャスモン酸を模倣してそのパスウェイを活性化し、サリチル酸が媒介する防御機構を抑制する (Cell Host&Microbe)

2012年06月15日
ピロリ菌はどうやって強酸性の胃の中を航海するのか
ピロリ菌の酸感受性受容体TlpB の構造解析から、受容体はウレアと高い親和力で結合して外部環境を感知していることが明らかにされた (Structure)

2012年06月15日
ウイルス核酸を包むヌクレオカプシドタンパク質をターゲットとするHIV阻害剤
薬剤抵抗性型に変異の起こりにくいタンパク質ヌクレオカプシドを阻害する2種の化合物が見出された (J. Med. Chem.)

2012年06月13日
ゲノムデータ援用タンパク質構造予測
ゲノム配列情報を活用することにより、折り畳まれたタンパク質の構造予測の精度を向上させる手法が報告された (PNAS)

2012年06月13日
米国NIHの見捨てられた薬の再開発プログラムに新たに製薬メーカー5社が参加
製薬メーカーで“お蔵入り”した58の既存薬の新たな薬効を探索するプログラムが始まる

2012年06月12日
薬剤の副作用を大規模にコンピューターで予測する
副作用が既に知られている分子との化学構造の類似性に基づくコンピューターサーチから、656の上市薬につき、73の意図しない“副作用”ターゲットタンパク質が予測され、そのうちの約半分が確証された (Nature)

2012年06月12日
見つかった実験ノートが明らかにするストレプトマイシンの発見の真相
ノーベル賞に輝いた画期的抗生物質の発見を記録した埃まみれの実験ノートが、ラトガー大学の図書館で見つかった

2012年06月10日
卓上型X線レーザー
電荷、スピン、光、エネルギー相互作用などの極短時間プロセス解析に応用可能な実験室スケールのアト秒パルス線源が開発された (Science)

2012年06月10日
一過性のタンパク質フォールディング中間体を可視化する
タンパク質が折り畳む間の過渡状態をトリプトファン残基の蛍光測定から解析することが報告された (Nat. Struct. Mol. Biol.)

2012年06月10日
食欲コントロールする新規脳内GPCRターゲット
摂食調節視床下部アグーチ関連ペプチドを産生するニューロンにおいて、Gタンパク質共役型プリン受容体がFoxO1の食欲促進効果を媒介することが見出された (Cell)

2012年06月07日
光化学系IIマイクロ結晶の室温フェムト秒X線回折
X線自由電子レーザーによる“壊れる前に測る”アプローチを用いて、光化学系IIマイクロ結晶の不安定なMn4CaO5 クラスターの室温測定が報告された (PNAS)

2012年06月07日
腸内真菌と大腸炎のリンク
哺乳類の腸には豊富な真菌叢が棲みつき、自然免疫受容体Dectin-1 (CLEC7A) を介して免疫系と相互作用し、Dectin-1の変異は潰瘍性大腸炎と強く関連していることが見出された (Science)

2012年06月07日
善玉腸内細菌は腸の外では悪玉になる
インターロイキン22を産生するリンパ球細胞 (ILCs) が、腸内に共生するバクテリアを選択的に腸内に封じ込め、全身性炎症を防いでいることが報告された (Science)

2012年06月07日
ウイルス発電
ヒトには無害なM13ファージを用いて、機械力を電気に変換する圧電デバイスが試作された (Nature Nanotechnology)

2012年06月06日
ハロゲン結合に着目したリード化合物開発
ハロゲン含有フラグメントライブラリーのスクリーニングと引き続く構造情報に基づく分子設計から、腫瘍細胞で変異した腫瘍抑制因子p53を再活性化する置換ヨードフェノール類が見出された (J. Amer. Chem.Soc.)

2012年06月05日
感染症が人類の進化を定めたのかもしれない
ヒトの祖先が進化のボトルネックを切り抜けた要因は、大腸菌K1などの病原菌がターゲットとする2種類のシアル酸認識シグナル伝達受容体 (Siglecs-13 and 17)を欠落や不活化したことにあるのかもしれない (PNAS)

2012年06月05日
未成熟なレトロウイルスのタンパク質殻の構造
低温電子顕微鏡を用いて、未成熟なレトロウイルスのGagポリタンパク質の構造が明らかにされた (Nature)

2012年06月04日
アミロイドカスケードを阻害する新規薬剤
トランスサイレチン(TTR) とその30以上の小分子安定化剤との複合体構造解析の力を借りて、TTRアミロイド線維形成を阻害する薬剤tafamidisが見出された (PNAS)

2012年06月04日
デスプロテインを選択的に活性化する小分子
75万の小分子ライブラリーのインシリコスクリーニングから、Bcl関連デスタンパク質BAX (BCL2L4)を活性化し、アポトーシスを促進する化合物が見出された (Nat. Chem. Biol.)

2012年06月04日
甘味料ステビアの苦味
ステビアの甘味成分のステビオールグリコシド類は2種類の苦味受容体を活性化し、甘味の後に苦味を誘発する (J. Agri. Food Chem.)

2012年06月01日
Wntタンパク質の予期せぬ構造
Wntタンパク質がFrizzled受容体と結合した予期しない構造から、Wntタンパク質の機能とその受容体との相互作用に関する知見が得られた (Science)

2012年06月01日
タンパク質マイクロ結晶の構造決定
自由電子レーザー (XFEL) を光源に用いたSFX 法 (Serial Femtosecond Crystallography) により、モデルタンパク質リゾチームのマイクロ結晶の高解像度立体構造が報告された (Science)

2012年06月01日
アミロイド前駆体タンパク質はコレステロールと結合する
アルツハイマー病に関与するC99タンパク質の構造とそのコレステロールとの結合の知見は新しい治療薬開発に繋がるかもしれない (Science)

2012年05月31日
ヒト膜タンパク質構造決定へのショートカット
無細胞発現系を用いて系統的に同位体ラベルされたアミノ酸を導入し、溶液NMR分光法によりヒト膜タンパク質の構造を迅速に決定する戦略が報告された;1年半で6種の膜タンパク質の主鎖構造が解かれた (Nature Methods)

2012年05月30日
キノコの不凍タンパク質の立体構造と不凍機能のメカニズム
寒冷地に生息しているイシカリガマノホタケが生産する不凍タンパク質は、氷の成長を強く抑制でき、強力な不凍作用を示すことが明らかにされた (PNAS)

2012年05月30日
ミツバチのペプチドを改変して病原バクテリアを殺す
ミツバチが産生する抗菌性ペプチドを、天然及び非天然アミノ酸を用いて改変し、薬剤抵抗性バクテリアに効能のあるペプチドが合成された (ACS Chem. Biol.)

2012年05月29日
栄養素を運ぶ輸送体タンパク質が植物ホルモンも運ぶ
栄養素の硝酸の輸送体タンパク質NRT (Nitrate transporter) 1.2が植物ホルモンアブシシン酸 (ABA) の輸送体としても働くことが報告された (PNAS)

2012年05月28日
除外されたX線結晶学データの有効利用
通常捨てられる回折データを有効利用して結晶構造を改善する (2 papers in Science)

2012年05月27日
植物の開花時期を決める仕組み
日長が長くなると慨日リズムで制御された光受容体タンパク質FKF1 が発現し、FT (FLOWERING LOCUS T) 遺伝子の転写を促進し、開花を促すことが報告された (Science)

2012年05月26日
癌細胞の増殖にアミノ酸グリシンあり
代謝物のプロファイリングから、急速な癌細胞の増殖におけるグリシンの存在が浮かび上がった;急速に分裂を繰り返す細胞でグリシンが猛烈に消費されている (Science)

2012年05月26日
精神病薬が癌幹細胞を殺す
認可薬のスクリーニングから、統合失調症の治療に使われるドーパミン受容体遮断薬チオリダジンが急性骨髄性白血病幹細胞の成長を阻害することが見出された (Cell)

2012年05月26日
DNAの行方はその溶媒和で決まる
DNA鎖が、タンパク質に翻訳されるメッセンジャーRNA か、タンパク質合成に関わるトランスファーRNA かを、その水分子との親和性から予測する手法が提案された (J. Am. Chem. Soc.)

2012年05月24日
ビタミンDの代わりに皮膚感染と闘うホルモン
ビタミンD摂取が不十分な時には、副甲状腺ホルモン(PTH) と PTH関連ペプチド(PTHrP) が分泌性抗菌ペプチド産生を活性化し、皮膚感染に応答することが見出された (Sci. Transl. Med.)

2012年05月23日
糖尿病治療に向けた新規ターゲットタンパク質
脂肪吸収に応じて小腸で分泌されるアポリポタンパク質A-IV (apoA-IV)が、インシュリン分泌を亢進することによりグルコース恒常性を改善することが報告された (PNAS)

2012年05月22日
バクテリアの注射針の構造
固相NMR分光法、電子顕微鏡、コンピューターモデリングを組み合わせて、サルモネラ菌が病原因子を宿主細胞に分泌するタイプIII分泌装置の構造が解明された (Nature)

2012年05月22日
伝統的薬剤ひまし油のターゲットタンパク質
ひまし油の構成成分のうち約90%を占めるリシノ‐ル酸は、選択的にプロスタグランジンEP3 受容体を活性化し、ひまし油の薬理効果を媒介することが見出された (PNAS)

2012年05月21日
脳梗塞を悪化させるタンパク質因子
脳梗塞後のマウスの組織中に抗酸化酵素ペルオキシレドキシンが多量に産生されて、細胞外へ放出され、脳内に浸潤した炎症細胞を活性化することにより炎症を引き起こして、症状の悪化につながることが報告された (Nature Medicine)

2012年05月21日
既存薬の新用途:関節リウマチ薬がアメーバ赤痢に有効
FDA 認可の抗リウマチ薬オーラノフィンがアメーバ赤痢に効力があることが見出された。寄生虫のチオレドキシン還元酵素を阻害し、その酸化ストレス耐性を弱める (Nature Medicine)

2012年05月19日
一般的な病気、稀な変異:多くの稀な変異が疾病の原因なのかもしれない
二つの大規模な(一つは1万5千のタンパク質コード遺伝子の、もう一つは202のドラッグターゲットタンパク質コード遺伝子の)シーケンス解析から、多くの稀で新規の変異が見出された。コードするタンパク質の機能と構造に影響を及ぼすものが多く、“一般的な病気、共通の変異”仮説が揺らいでいる (2 papers in Science)

2012年05月19日
肥満:何を食べるかだけではなく、いつ食べるかも重要
トータルで同じカロリーの高脂肪食をマウスに与える際、時間制限した給餌は、のべつ幕なしに摂食した場合より、代謝性疾患を発症しにくいことが報告された (Cell Metabolism)

2012年05月19日
オメガ3脂肪酸の作用メカニズム
オメガ3脂肪酸は、炎症性反応を引き起こすプロスタグランジンを生成する酵素 (COX) を阻害することが見出された (PNAS)

2012年05月17日
生命の最初の概日体内時計タンパク質?
ペルオキシレドキシン酵素の酸化‐還元サイクルが、生命共通の概日リズムの普遍的なマーカーの一つではないかとの提案がなされた (Nature)

2012年05月17日
アルツハイマー病罹患リスクタンパク質は脳血管を傷つける
アポリポタンパク質 (ApoE4)の高リスクバリアントは炎症反応を引き起こし、血液脳関門の働きを弱めて脳血管系を傷つけることが見出された (Nature)

2012年05月11日
シャ―ガス病:原虫を運ぶサシガメを寄せ付けない殺虫ペンキ
ボリビアで治験が始まる防虫ペンキは、マイクロキャプセルにベクターである昆虫の成長調節物質を包含し、サシガメの成長を妨げる

2012年05月11日
生物時計が温度によらずに24時間周期を刻む仕組み
温度の上昇により反応が速く進もうとすると、それに必要な酵素が不足して反応を抑え、結果的に時計の刻みが一定に保たれるという仕組みを発見 (PNAS)

2012年05月10日
ルテニウム錯体を活性化して癌細胞を殺す
プロドラッグ設計:光照射によって活性化したルテニウムン錯体は、広く処方されている抗がん剤シスプラチンよりずっと効能が高いことが報告された (J. Am. Chem. Soc.)

2012年05月09日
特集号:構造生物学シリーズ
Science Signaling 誌は5月にシグナリング伝達を担う分子と情報伝達を理解に向けた構造解析に関する論文と解説を順次掲載する (Science Signaling)

2012年05月09日
抗腫瘍活性を持つオートファジー阻害剤
腫瘍増殖を障害するビスアミノキノリン系のオートファジー阻害剤の合成と評価が報告された (PNAS)

2012年05月08日
高効率長寿命の合成酵素
銅ヘム錯体を持つ金属酵素が設計され、酸素の水への還元触媒反応で高効率と1,000回以上のターンオーバーが報告された (2 papers in Angew. Chem. Int. Ed.)

2012年05月08日
チトクロムc ‐カリックスアレーン複合体の構造
カップ型のカリックスアレーンが結合したタンパク質複合体の構造が解析され、複数のサイトと結合するダイナミックな相互作用が明らかにされた (Nat. Chem.)

2012年05月08日
アミロイドβが毒性を増強するきっかけ
アルツハイマー病のペプチドがミスフォールドして神経細胞死を引き起こすには、ピログルタメート 修飾されたペプチドが必要であることが報告された (Nature)

2012年05月08日
自然に戻ろう:いなかの生活はアレルギーに良い証拠
田園で育つティーンは皮膚に抗炎症性細菌を持っている (PNAS)

2012年05月04日
見捨てられた薬の再開発:NIHと製薬メーカーが見捨てられた薬を研究者に
製薬メーカーで“お蔵入り”した既存薬をアカデミアに開放し新たな薬効を探索するプログラムが始まる

2012年05月04日
脂肪と戦う黒胡椒の秘密
黒胡椒のピリッとしたアルカロイド成分のピぺリンが、核内受容体PPARγの活性に拮抗することにより脂肪生成を阻害すると報告された (J. Agric. Food Chem.)

2012年05月04日
メラネシアでの金髪の秘密
ソロモン諸島の人々に見られる金髪の決定因子はtyrosinase-related protein 1 (TYRP1) のアルギニン?システイン変異であることが見出された (Science)

2012年05月01日
診断用イメージング剤を修飾してアミロイドβペプチドの毒性に対抗する
PET用画像診断薬として開発された蛍光性のフルオレン化合物の誘導体が、アミロイドβペプチドを不安定化してアミロイド形成を減少させることが見出された (PLoS ONE)

2012年05月01日
糖配列の忠実性を調べる
核酸やタンパク質と異なり、多糖類は合成用の鋳型を持たない。多糖ポリメラーゼが如何に忠実に単糖を繋ぐかを、二つのグル―プが基質アナログを用いて報告した (J. Am. Chem. Soc. & Org. Biomol. Chem.)

2012年04月29日
創薬スクリーニング:ラベルを付けずにスクリーニングを可能とするプローブ
ターゲットタンパク質に結合し、化合物に立ち退かされた時にのみ蛍光発光する低分子プローブが考案された (J. Am. Chem. Soc.)

2012年04月29日
オートファジーから逃れたミトコンドリアDNAが心臓の炎症を引き起こす
ストレス環境のためオートファジープロセスが機能せずに逃れたミトコンドリアDNA は、バクテリアからのDNA と認識され、免疫細胞でToll様受容体9 (TLR9) を活性化し、心臓細胞で炎症が引き起こされる (Nature)

2012年04月27日
ヒトArgonaute2タンパク質の結晶構造
正確な構造決定はRNA誘導サイレンシングプロセスの理解と創薬への応用に繋がるだろう (Science)

2012年04月27日
核と細胞質の間を輸送する新しい運搬体タンパク質“Hikeshi (火消し)”を発見
ストレスを受けると正常時と全く異なる核?細胞質間の輸送システムが働き、Hikeshiはストレス時にタンパク質分子シャペロンを核に輸送することが見出された (Cell)

2012年04月27日
腸内環境のアンバランスが全身の免疫系を過剰に活性化
免疫抑制受容体タンパク質PD-1(programmed cell death-1)が免疫グロブリンA(IgA抗体)の質を維持し、腸内環境のバランスを制御すること、またIgA抗体の腸内細菌への結合力低下が、腸内環境のアンバランスを導くことが示された (Science)

2012年04月27日
善玉腸内細菌が炎症性腸疾患を防ぐ訳
乳酸菌が産生するタンパク質分解酵素のlactocepinが 炎症性サイトカインを選択的に分解することが報告された (Cell Host & Microbe)

2012年04月27日
哺乳細胞培養液のマイコプラズマ汚染の高感度アッセイ
細胞の培養上清でのガウシアルシフェラーゼレポーターの分解に基づく簡便で高感度のmycosensor アッセイが提案された (Anal. Chem.)

2012年04月26日
タンパク質結晶のコンピューター設計
P6空間群に属する3へリックスコイルドコイルタンパク質結晶が設計され、実際のX線構造解析結果と照合された (PNAS)

2012年04月26日
体内で産生される“抗炎症薬
体内で生合成される脂質(resolvins and protectins)が、白血球を刺激して組織損傷を和らげ、病原菌を一掃する抗炎症作用を示すことが報告された (Nature)

2012年04月26日
フケ防止薬ターゲットタンパク質とその阻害
スルフォアミド類が、フケを引き起こす病原真菌のβ-炭酸脱水素酵素の阻害剤であることが見出された (J. Med. Chem.)

2012年04月24日
ヒト甘味受容体は多様な甘味物質群をどのように識別しているのか
甘味受容体 (T1R2-T1R3) のT1R2に甘味物質の認識に関わるアミノ酸残基を複数突き止め、化学的性質の異なる多種類の低分子甘味物質を受容していることが明らかにされた (PLoS One)

2012年04月24日
アフリカ睡眠病を媒介するツェツェバエは哺乳類と同じミルク酵素を持っている
ツェツェバエのミルクには、哺乳に必須のスフィンゴミエリン分解酵素が含まれていることが見出された。この酵素を制御してツェツェバエ個体数を減らせるかもしれない (Biol. Reprod.)

2012年04月24日
植物は成長か防御かの“決断”をどう下すのか
危機において、成長を制御するジベレリンと防御を制御するジャスモン酸の2種類の植物ホルモンが共同して問題に対処する (PNAS)

2012年04月23日
質量分析法:構造生物学のルーキー
X線結晶学とNMRがスタープレイヤーである構造生物学で、マススペクトロメトリーが他の手法の苦手とするギャップ埋めるルーキーとして先発メンバーの地歩を獲得しつつある

2012年04月23日
抗生物質に共通の作用メカニズム
グアニンの酸化が、多くの抗生物質に共通する細胞致死能力であることが報告された (Science)

2012年04月21日
複雑なRNAの3次元構造予測
ヒドロキシラジカルプロービング法を活用して、80 から230ヌクレオチドから成るRNAの分子動力学シミュレーションによる定量的講造精密化手法が報告された (Nature Methods)

2012年04月19日
2つの作用で骨の健康を守るタンパク質セマフォリン3A
セマフォリン3A (Sema3A) が、骨芽細胞から産生され、骨芽細胞自身と破骨細胞の両者に働きかけることにより、骨吸収(破壊)の抑制と骨形成の促進を同時にコントロールする作用を持つことが見出された (Nature)

2012年04月19日
ばね仕掛けのナノ粒子でタンパク質分解酵素を検知する
ペプチドを結合しひずみをかけたナノ粒子で疾病関連のタンパク質分解酵素を検知できることが示された (J. Am. Chem. Soc)

2012年04月18日
“薬用植物2012”に選ばれた甘草の根に抗糖尿病成分
甘草などのマメ科植物に含まれる天然物のamorfrutin類は、核内受容体PPARγと結合して活性化することにより強力な抗糖尿病作用を示すことが見出された (PNAS)

2012年04月18日
花咲かホルモンの輸送を司るタンパク質
小胞体膜タンパク質FTIP1 (FT-INTERACTING PROTEIN 1) が花成ホルモンフロリゲン(FTタンパク質) の輸送に必須の制御因子であることが報告された (PLoS Biol.)

2012年04月17日
植物ホルモンオーキシン: (1) 日陰が引き起こす成長
シロイヌナズナが日陰に置かれると、光受容体フィトクロムBが転写因子PIF7 (phytochrome interacting factor 7) の蓄積を促し、オーキシン生合成系が活性化され、茎の成長が引き起こされることが報告された (Genes & Dev.)

2012年04月17日
植物ホルモンオーキシン: (2) 輸送と貯蔵
小胞体でのオーキシンの蓄積を制御し、核でのオーキシンシグナル伝達を可能とするオーキシン輸送促進ファミリータンパク質群が同定された (Nature)

2012年04月17日
撤回論文数の急激な増加
発表論文の撤回が急増し、抑えがきかなくなる状況に危惧の声が上がっている

2012年04月16日
産学共同プロジェクトでエピジェネティクス研究用の化学プローブを探す
オープンアクセスの創薬研究を目指すStructural Genomics Consortiumでは、製薬メーカー研究者も加わり、エピジェネティクス研究用のtool compoundを開発し、シェアする試みが進んでいる

2012年04月16日
血液型A型の人がロタウイルス(乳児下痢症の原因)に罹りやすい
構造解析から、ロタウイルスのスパイクタンパク質VP4のVP8*ドメインはA型血液抗原と選択的に結合することが報告された (Nature)

2012年04月16日
白血病治療に有望な天然物
漢方薬に用いられる植物から単離されたジテルペノイドのadenanthin が、白血病細胞の2種類のペルオキシレドキシンを阻害し、癌性血液細胞を良性細胞に分化誘導することが見出された (Nat. Chem. Biol.)

2012年04月13日
イオンチャネルの動作現場を捕える
カスタムコンピューターAntonを用いた全原子分子動力学シミュレーションにより、電位依存性カルシウムイオンチャネルの閉じた状態と開いた状態の2状態が可視化された (Science)

2012年04月12日
東北大研究シーズから画像診断薬開発へ
東北大学発ベンチャーとGEヘルスケアが、タウタンパク画像診断薬の共同研究契約を締結

2012年04月12日
高輝度赤外光で単一細胞を照らす
シンクロトロン光源からの高輝度集束赤外光で単一細胞を照らし、神経細胞への分化に伴うタンパク質リン酸化が測定された (Anal. Chem.)

2012年04月11日
水中のタンパク質分子のねじれ運動を動画として直接観測
時間分解X線構造解析法を用いて、水中のタンパク質ヘモグロビンのねじれ運動を100億分の1秒の時間精度で動画観測することに成功した (J. Amer. Chem. Soc.)

2012年04月10日
米国FDAがアルツハイマー病診断薬を認可
造影剤Amyvidはアミロイド斑に結合し、PET診断薬として機能する

2012年04月10日
昆虫から身を守る:接触により活性化される植物の防御
植物は、真菌感染や昆虫から身を守るため触覚を利用すること、ならびに触覚によって引き起こされる成長は植物ホルモンのジャスモン酸によって調節されていることが報告された (Current Biology)

2012年04月10日
百万本のワインセラー
世界最大の化学企業のBASFの本社は業界最大のワインセラーを有する、売上は全体の0.01%にすぎないが

2012年04月09日
毛髪の再生と成長を促すタンパク質:RNA干渉スクリーン
RNA干渉スクリーニングから、転写因子Tbx1 が毛包幹細胞に毛髪の再生と成長を促す因子であることが見出された (Nature)

2012年04月09日
軟骨の再生を促す化合物:ハイスループット化合物スクリーン
関節の間葉幹細胞を軟骨細胞に分化させ、変形性関節炎で破壊された軟骨を再生する化合物が見出された (Science)

2012年04月09日
インフルエンザ治療薬を探す:インシリコスクリーン
ウイルスのRNAポリメラーゼの構造に基づき、3百万の化合物のインシリコスクリーニングから、その複合体形成を阻害する32の化合物が同定され、そのうちの1種は極めて有望であることが報告された (PNAS)

2012年04月06日
飲料水のかび臭の原因物質を生合成する酵素群の構造
テルペン系臭気物質2‐メチルイソボルネオールを生合成するバクテリアの2種類の酵素の構造と触媒作用が解明された (2 papers in Biochemistry)

2012年04月05日
腫瘍部位を狙い撃ちするナノ粒子で化学療法の有効性を向上する
抗がん剤ドセタキセルを内包し、前立腺特異的膜抗原を狙い撃ちするポリマーナノ粒子で有望な初期臨床試験データが得られた (Sci. Transl. Med.)

2012年04月04日
高尿酸血症: 腸管からの尿酸排泄の重要性
尿酸排出輸送体タンパク質ABCG2の尿酸排泄機能の低下により、腎臓よりむしろ腸管からの尿酸排泄機能が低下することが、高尿酸血症の主要な原因の一つであることが報告された (Nature Communications)

2012年04月04日
光スイッチでタンパク質を生産するナノ粒子
狙い撃ちのドラッグデリバリーを目指して、光制御でタンパク質を生産する脂質小胞が試作された (Nano Lett.)

2012年04月04日
元プロ野球ピッチャーが次に目指すのはタンパク質の“ストライクゾーン”
‘Phosphorylation Regulates Assembly of the Caspase-6 Substrate-Binding Groove’ の筆頭著者は元マイナーリーグ選手 (Structure)

2012年04月03日
ゲノム配列からの疾病予測には限界
一卵性双生児の解析から、個人の全ゲノムシーケンシングによる疾病発症予測には限界があることが示された (Sci. Transl. Med.)

2012年04月03日
ストレス→炎症→疾病
慢性ストレスがグルココルチコイド受容体抵抗性を引き起こし、炎症反応をダウンレギュレートできなくなり、疾病発症に繋がるというモデルが提唱された (PNAS)

2012年04月03日
鎮静薬モルヒネのターゲットタンパク質
モルヒネは、オピオイド受容体ではなく、自然免疫受容体であるTLR4 (Toll様受容体4) をターゲットタンパク質として機能することが見出された (PNAS)

2012年04月02日
免疫抑制剤で長寿作用も知られるラパマイシンのもう一つの効果
mTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)阻害剤のラパマイシンは数種のモデル動物の寿命を延長する。ラパマイシンはもう一つのmTOR 複合体(mTORC2)も阻害し、糖耐性やインシュリン感受性を損なうことが報告された (Science)

2012年04月02日
体内時計を変えて体重減をもたらす化合物
慨日リズム形成に関わるCLOCKタンパク質の発現を調節する核内受容体を活性化する化合物が合成され、様々な代謝障害を改善することが示された (Nature)

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